近年、性被害の実情を知らせる記事が新聞でも掲載されるようになり、その問題性に注目がまっています。とりわけ、男女を問わない子どもの性被害の背景には、日本における性教育の遅れがあります。性の問題がタブー視され、十分な情報が届かず、正しい知識を得ることができない現状があります。
文科省がスタートさせた性暴力防止の被害プログラムとされる『生命の安全教育』(2021年)は、性交について扱うことはできないとされています(いわゆる「はどめ規定」)。ネット社会の中で、幼児期から性情報に簡単につながることができる現在だからこそ、正しい知識が必要ではないでしょうか。
性教育に関する国際的なスタンダードとされる『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』は、その対象は5歳からとなっています。その内容を見ると、一人ひとりの人権に関すること、多様な性のあり方、ジェンダー、価値観や文化、性暴力を受けたときの対処などにいたるまで多岐にわたっています。今特集では、あらためて包括的性教育について考え、学校現場の中に生かしていくきっかけになればと考えます。