「障害者権利条約」では、インクルーシブ教育の目的の一つとして、人格や能力などを「最大限に発達させること」を挙げています。つまり、インクルーシブ教育は、一人ひとりの子どもの成長・発達を保障するものであるといえます。
10月に出された中教審「中間まとめ」では、インクルーシブ教育に関わって「障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられる条件整備」を図るとしています。そして、「通常の学級に特別支援学級の児童生徒の副次的な籍を導入」し、「学級活動や給食等については原則共に行う」など、「共に学ぶ」ことが重要視されています。
「インクルーシブ教育とは、障害のある子が通常学級で学ぶこと」ととらえられがちですが、それだけでよいのでしょうか。通常学級で学ぶための条件整備や合理的配慮はもちろん必要です。しかし、通常学級の生活や学習課題が、障害の実態や発達段階に合わない子もいます。その場合、通常学級で学ぶことが、成長・発達を保障することにつながりません。
本特集では、障害のある子とない子が「共に学ぶ」意味を問いながら、どういう教育を実現することがインクルーシブ教育なのかを考え合いたい。
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