全教と民主教育研究所は2月19日、教員への管理統制の強化、教職員組合への攻撃、教員の専門性のはく奪にどう対抗するかをテーマとして、国際シンポジウムを都内で開催しました。
シンポジウムには海外組織の代表として、イタリア労働総同盟教員組合(FLC CGIL)国際担当書記のクラウディオ・フランキさん、ポルトガル全国教員組合連合(FENPROF) 国際関係部長のマヌエラ・メンドーサさん、米国マサチューセッツ州教員組合(MTA)委員長のバーバラ・マデローニさんの3名がパネリストとして参加しました。
フランキさんは、イタリア政府がこの10年間で行ってきた、教育予算カット、賃金の凍結、組織のトップの権限強化、教員評価の悪質な利用、教員への長時間の労働の強制などの実態を報告しました。
メンドーサさんは、2011年から2015年の「緊縮政策の4年間」における抵抗とたたかい、そして2016年に誕生した左派政権下の「強力な組合運動」による、「貧困層には最も薄く、富裕層には最も厚い国家支援の計画に終止符」を打つたたかいを報告しました。
マデローニさんは、「一般組合員の活動と指導力を強化し、労働組合民主主義を拡大する、たたかう労働組合づくり」を公約に掲げて州委員長に選出され、チャータークールに関する州民投票に勝利したとりくみなどを報告しました。
全教を代表して発言した小畑書記長は、過度に競争主義的な教育政策と、教職員定数の抜本的な改善がない中で、教職員の長時間過密労働が職場に蔓延するとともに、教育政策に従う物言わぬ教職員づくりのために、国は、教職員を管理・統制するしくみを政府がつくりだそうとしている実態を報告しました。
格差と分断を強める教育政策によって子どもたちも教職員も追い詰められる中で、学校と子ども、教職員の実態を保護者、地域に知らせ、共同したたたかいをすすめていくことが共通に語られました。
フロアからの質疑、討論を踏まえコーディネーターの勝野正章さん(民研・東京大学)は、「質の高い教育」「平等な教育」「社会正義のための教育」ということをめざしていくために、改めて教師の専門職性ということが大事であることを強調し、教師が保護者や市民、生徒と一緒に共感し語り合うという努力を続けようとまとめました。