現在、中教審初等中等教育分科会教員養成部会では、「『教員不足』の要因として、『採用候補者が免許状の未更新等により採用できなかった』を挙げる自治体が一定数存在」することを背景に、「免許状更新講習を修了していない者に対する臨時免許状の授与」に関する検討がすすめられています。
全教は、12月6日に、文科省に「教員免許更新制に関する緊急要請書」を提出し、教員不足の問題について「問題にされるべきは、教員免許更新制そのもの」であることを指摘し、「教員免許更新制を廃止すること」「当面、65歳に達する教員免許所持者に対し、更新講習および更新手続きを免除すること」を要請しました。要請には、全教から小畑書記長、宮下書記次長、糀谷中央執行委員、波岡中央執行委員、佐竹中央執行委員が参加しました。
文科省は、全教からの要請に対し、「臨時免許についての対応案は、免許更新制を否定するものではないと考えている。近年学校等において必要な教員を確保することに苦労している。弾力的に運用できるように、一定期間内に更新講習を受けることや、最新の知識技能が身に付けられていることが教育委員会で確認できれば臨免を発行するというもの」としました。
今、全国各地で深刻な「教育に穴が開く」(教職員未配置)問題が起こっています。全教は、2018年4月1日~5月31日の期間に未配置状況についての調査を行い、23都道府県、3政令市から667件の「未配置あり」の報告がありました。
全教は、文科省に対しこの調査結果を示し、免許更新制が教員不足の一因であることや、免許更新の必要のない70代・80代の臨時・非常勤講師がいる実態もあきらかにし、現場での要望をふまえ、弾力的に、65歳以上へ更新講習の免除などの対応をおこなうことを求めました。文科省は、「ある一定の年齢で最新の知識を身に付けること等をしなくていいのかということがある。これまでの経験があることは承知だが、最新の流れを仕入れていいただきたい」としながら、「教育委員会の研修と更新講習を兼ねる形でやっていただけたらどうかと教育委員会や大学にすすめている。できるだけ兼ねる形でできないか示す形でやっている」としました。
さらに、全教は、最新の知識を得るには10年に一回30時間の研修では得られるものではなく、日々の学校現場での教員の成長に信頼した制度にすべきであり、更新制度が始まり10年経過し、旧免許所持者の更新講習が一巡する今、きちんと検証をおこなう必要があることを主張しました。また、文科省がくりかえし「免許状更新講習の受講及び円滑な手続等について」「更新講習修了確認等の申請期限到来等に係る注意喚起について」等の連絡を発出し、さらに免許管理システムを多額の公費をかけ開発しても、多くの意図しない免許失効者が生まれていることを指摘し、改めて更新制度の廃止を求めました。加えて、現場の実態や要望をふまえ、当面65歳に達する免許所持者への柔軟な対応を、弾力的におこなうことを求めました。文科省は、「現場の思いは生かして検討したい」としました。
全教は、改めて、教員免許更新制の廃止をもとめるとともに、当面、65歳に達する教員免許所持者に対する更新講習や更新手続きの免除等を求めます。