10月17日、全教は総選挙にあたり文科省に対して、憲法が保障する基本的人権を擁護し、教職員の政治活動の自由を保障することを求める申し入れを行いました。
全教からは米田雅幸副委員長、佐藤健治書記が要請。文科省は、山田侑磨初等中等教育局初等中等教育企画課専門職(教育公務員係担当)、工藤駿初等中等教育局児童生徒課企画係長、小林由貴高等教育局私学部私学行政課法規係長ら5名が対応しました。
すべての国民には、主権者としての重要な権利として政治活動の自由に関する保障がなされており、教育公務員といえどもその例外ではありません。しかし、文科省はこの間の国政選挙にあたって、「教職員の選挙運動の禁止等について(通知)」を発出してきました。その内容は、本来であれば憲法で保障された公民権を保障することを前提とするべきですが、通知はその表題の通り、政治活動の禁止を前提とした立て付けになっています。さらに、「教育の政治的中立性を疑わしめる行為」「信用失墜行為の禁止に抵触する可能性」など曖昧な表現を使い、教職員の政治活動の自由を制限・萎縮させてきました。
また、公職選挙法の改正により2016年6月から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられており、高校生の政治活動の自由を保障することに政府は積極的な配慮が求められます。そうしたことから、総選挙にあたり全教は次の4点を文科省に申し入れしました。
① 一切の政治活動を否定する通知を撤回(発出しない)すること
② 文科省として憲法で保障された教職員の正当な政治活動の自由を保障する立場に立った行政を行うこと
③ 高校生の政治活動の自由を保障する立場に立った施策をすすめること
④ 私立学校の建学の精神と自主性を尊重し、教育内容への介入・干渉は行わないこと
文科省は回答で、「選挙の度に通知を注意喚起の意味で出している」として撤回する考えがないことを示しました。米田副委員長は、学校現場での事例も示しつつ、教職員の政治活動を萎縮させる通知を辞めるよう求めるとともに、「憲法が保障する公民権を始め、基本的人権は教職員など公務員にも保障される」と述べ、文科省に見解を求めました。文科省はそれを否定せず、「教職員にも憲法に則って公民権をはじめ基本的人権は保障されている」と応えました。
③について、文科省は「高校生が選挙活動や政治活動を行うことは、主権者として認められているものであり、尊重すべきものと考えている」「高校生が主体となって判断して行うものと考えている」とした上で、「校内での生徒会活動に乗じた活動は制限される」としました。
また、④については、文科省から「私立学校の建学の精神と自主性を尊重することは重要だ」との回答がありました。