~教員免許更新制の廃止、
廃止するまでは行政が責任を持って受講できる体制を、
受講料等の本人負担をなくすこと、
「管理システム」は安易に民間業者等に委託しないこと~
全教は、4月19日文部科学省に対して教員免許更新制の廃止を求める要請を行いました。これは、2017年2月に文科省が「平成28年度教員免許管理システム開発費補助金公募要領」を発表したことを受けて、
①教員免許更新制の廃止
②有効期限を設けている教員免許更新制をあらため終身免許に戻すこと
③廃止するまでは更新手続きを本人責任にするのでなく行政が責任を持って受講できる体制を整えること、受講料等の本人負担をなくすこと
④「管理システム」の構築にあたっては個人情報保護など万全の態勢を整えること、安易に民間業者等に委託しないこと
を求めておこなったものです。申し入れは、宮下直樹書記次長、糀谷陽子中央執行委員、波岡知朗中央執行委員、佐竹葉子中央執行委員の4人でおこないました。文科省からは、山口利行教員免許企画室教職員課免許係専門官、後藤成美教員免許企画室教職員課更新係長、奈雲太郎中等教育企画課調査課長らが出席しました。
冒頭、宮下書記次長から「教員免許制は今なお手続き不備による意図しない免許失効者が存在し、その背景に教員免許に有効期間を設け更新を自己責任としたことがあり、教員の専門職性向上を支援するよりも管理と統制を強化するものである」と指摘し「教員免許更新制の廃止および廃止するまでは更新手続きを本人責任にするのでなく行政が責任を持って受講できる体制を整えること、受講料等の本人負担をなくすこと」等を求めました。
それに対し、文科省は「教員免許更新制は全国的な教育維持の観点から教員の資質・能力を一定以上に担保するための極めて重要な制度」であり「最新の知識・技能を身につけ自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られる」ためであり「9割以上の受講者が好意的な評価」をしていると述べました。また「意図せず免許失効させてしまうことは教育現場に影響が大きい」ことを認めつつ「個人の資格として授与されるもの」で「個人の方で行っていただくのが基本」であり「必要な申請があるということを周知徹底するよう要請している」とし「講習期間が土日とか長期休業期間中に開設し」たり「通信教育やインターネットでの受講も用意」するとしました。また、受講料の本人負担については「個人の資格として授与されるもので、個人負担が原則」であるとしました。
全教から「更新制が教員の資質向上に有効であるとどう検証しているのか。9割以上の好意的な受け止めは講座に対するもので制度に対してではない」と指摘したことについて、文科省は「アンケートは講座についての評価を問うものだが、その評価が高いということで制度も滞りなく運営されている」としました。また、全教から、幼保連携のこども園が導入されたことも含め、今後一層複雑になることを指摘した上で「意図しない失効の原因は本制度の複雑さから起因する。制度導入時から想定されるもので、すぐに廃止すべき」と主張しました。文科省は「制度が複雑で完全に理解していただくのは少し難しいとう点があると思うが、なるべく周知を行っている」としました。全教は「制度の複雑さについては導入当初から想定されていたのではないか」と質し、文科省は回答できませんでした。
全教は、意図しない失効の例を示し救済の方法を質し、文科省は「更新講習を受講したことは生きているので、すぐに授与の申請をしていただき、回復していただく」としました。また、全教は現職教員に大きな負担になっていること、開講している大学が減少していることを指摘しました。さらに全教から、管理システムへの民間業者の参入にあたり個人情報保護の扱いについての危険性を指摘し、文科省は「管理は都道府県が行い、システムにアクセスできる権限も都道府県教育委員会のみであり、個人情報の保護等も万全の態勢」であるとしました。
全教は、改めて免許更新制を廃止することを求めるとともに、廃止するまでの受講料の本人負担をなくすこと、当面意図しない失効者をなくすための周知徹底を行うことを求めました。