3月9日(水)、貧困と格差の拡大をストップし、青年が安心して学び成長する権利を保障するため、標記の集会を緊急に開催し、85名が参加しました。全教と奨学金の会が主催し、全国大学高専教職員組合や日本私大教連、奨学金問題全国対策全国会議の三者が賛同団体となる初めての院内集会となりました。
開会挨拶で奨学金の会三輪会長は、「国際人権規約の留保撤回をした日本政府は、授業料無償計画に、入学金及び教科書代を含めるように勧告され、無償教育の具体的行動計画の作成、給付制奨学金導入などの措置を講じて、2018年5月31日までに報告することが迫られている」と2018年問題を強調しました。
全労連の井上久事務局長は、連帯挨拶で国民的課題となった奨学金問題の解決と青年の学ぶ権利の保障のために給付制奨学金が何としても必要だということを強調しました。裁判業務のため出席できなかった奨学金問題全国対策会議の岩重佳治事務局長からは連帯のメッセージが届けられました。
参加者の発言の要旨は以下の通りです。
・全大教長山書記長:国立大学運営費交付金の削減を通じて日の丸・君が代等の大学介入が進められようとしている。学費の値上げにもつながる。全教の提起に期待している
・日本私大教連野中委員長:条件の悪い私大は国公立が悪化すればさらに悪くなる。学費の高さに耐えられずに中退したり除籍される実態は、国公立と比べて公財政支出が低いことからきている。授業料減免の予算は国公立の320億円に対して私大はわずか86億円。しかも国立は全額補助なのに私学は半額の補助でしかない。
・学支労藤井委員長:奨学金事業が金融事業へと改悪され、滞納者はブラックリストに載せられ、取り立ては民間に委託している。学生を支援したいのに職員の合理化でままならない。事業規模8.6兆円は横浜銀行に匹敵するが、職員数は横浜銀行4600人に対して日本学生支援機構は10分の1の410名足らずで非正規が過半数を占めている。
・全国大学院生協議会土肥事務局:8大学の院生自治会アンケート実施。1000名以上が協力してくれた。大学院生の69%が研究費や生活費のためにアルバイトをしている。4人に1人が300万円以上の奨学金に依存。必要な書籍が購入できない。国会議員への働きかけ・請願が必要。
・全国私教連山口書記長:公私間格差是正には、国の補助に独自の自治体補助を加えさせる運動が必要。学びたい学校へ入学できるかどうか、入学金の高さが大きな壁となっている。
・香川高教組安部委員長:運動の中で、2012年度に創設されたUターン奨学金の一部返済免除が月額1.5万円から2.5万円へと2016年度には拡充される。100名の募集に300名が殺到している。もっと広げる運動を進めたい。
最後の閉会挨拶で、全教蟹澤中央執行委員長が、日本の貧困・格差社会から転換していく契機としたい。競争と管理の教育から権利としての教育へと転換するための共同の運動をすすめて行こう、と呼びかけました。