『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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「2015春闘要求」で文科省と交渉

 全教は3月11日(水)「全教2015春闘要求書」にもとづき、重点要求事項に関わって文部科学省交渉を行いました。



 今回の交渉には、全教から北村中央執行委員長をはじめ、蟹沢・中村・藤田副委員長、今谷書記長、米田・田倉書記次長、小畑・山元・土方中央執行委員が参加し、文部省からは池田財務課長ほか、粟井専門官、山本高校就学支援室係長、堀家初中教育企画課専門職、風岡参事官付係長が参加しました。
 交渉の冒頭北村委員長から、「教職員が子どもたちとしっかり向き合える時間を、そして教職員が生きがいをもって働ける環境をつくるために文科省にさらに努力をお願いしたい」と、3・11東日本大震災の経過も含めてあいさつを行いました。これに対し、池田財務課長は「文科省としても現場の先生方が教育活動に専念できるようにしっかり支援していきたい」と答えました。

 その後、具体的な全教の重点要求について文科省側から回答があり、それを受けて交渉を行いました。教職員の長時間過密労働解消について、文科省は「昨年6月のTALIS報告でも日本の中学校教員の勤務時間は最長だった。教育環境が複雑化し、教職員に求められるものが拡大している。文科省としては、学校に多様な専門スタッフを配置してチームとして組織力を高めるためていくことが重要と考え、27年度予算でコミュニティースクールなど予算化した。教員を中心とした多様な専門家を配置するチーム学校の推進など、総合的な対応していきたいと考えている」「教職員の多忙化を解消し、本来の職務に専念できる環境をつくるために業務負担の軽減を図ることは重要と考えている。教職員の勤務時間管理は教育委員会とそれぞれの学校で適切に行うべきだが、文科省としても管理職に会議などの効率化をはかり、一部の先生方に負担が行き過ぎないように人事管理担当者に周知徹底をしている」と回答しました。

 総人件費抑制と成果主義賃金の拡大、「メリハリある教職員給与」の政策見直しの要求に対して、文科省は「教職員の士気を高めるために『メリハリ』は必要と考えている。今後さまざまな団体の考え方をお聞きしてすすめていきたい」と回答しました。また、雇用と年金の接続を希望するすべての教職員に保障するという要求に対し、「地方公務員の再任用は義務化ではなく、総務省副大臣通知で『適切に運用』となっている。これを踏まえて各教育委員会に指導していきたい」「フルタイム勤務の再任用は他の一般公務員と同じに定数配置とし、新規採用は教職員の年齢構成をフラットにするためにも安定的計画的に採用を行っていく必要がある。臨時的任用、非正規教職員の配置を計画的に正規教職員の枠に切り替えていくことも必要であると考え、各地の教育委員会に依頼していきたい。臨時的任用を調整することによって新規採用枠を確保してもらえるように協力を依頼したい」と回答しました。

 「高校無償化」を復活し、高校授業料の完全無償化実現について、「所得制限の撤廃については平成25年の通常国会で所得制限を導入した。これは低所得者の支援をもっとしっかりやるために行ったので、理解いただきたい」と回答しました。計画的な定数改善計画をすすめて、すべての小、中、高校で35人学級を実現するという要求に対して、「きめ細かい指導を行うなど、教職員が職務に専念できる環境をつくることは重要だと考えている。来年度は基礎定数の改善を要求したがかなわず、加配増900人となった。教育改革の推進のほか、チーム学校の推進ということで主幹教諭、事務職員、学校司書、養護教諭、栄養教員の配置をすすめていきたい。またスクールソーシャルワーカーの配置も25倍増で2247人に拡充する。さらに地域人材の活動も行う。こういった中で教職員の負担を軽減していきたい」「文科省としては一律の学級編制、標準学級の在り方もあるが、教員一人当たりの児童生徒数の割合を指標に掲げながら指導体制の強化を考えていきたい」と回答しました。

 これらの回答に対し全教からいくつかの点に関して意見を述べ、追及しました。
長時間過密労働の解消については、教職員定数の抜本的拡充と計画的拡充が不可欠であり、教職員の命や健康への影響だけでなく、これを放置して教育の充実はあり得ないことを訴えました。
 「メリハリある給与」の考え方で、「一部の頑張っている人」という認識が間違っている。全体の教職員に過重な負担となっており、ワークシェアリングでは多忙化は解消できないことを強く訴えました。さらに、担当授業時数の上限設定を行い、所定の勤務時間内で必要な仕事を終えることができる環境をつくる努力をするように求めました。

 35人学級の実現について、衆議院予算委員会で安倍首相みずから「35人学級の実現に向けて努力していきたい」と答弁しており、文科省として1歩すすんだ回答をすべきであると追及しました。地方では独自に35人学級を着実に進めているものの、地域間の格差が生まれており、国としてすべての子どもたちに責任を持つという立場で改善を計画的に行うことを強く求めました。

 雇用と年金の接続については、「年金の空白期間」が現実とものとなった今年度、再任用を希望しながら再任用とならなかったものがどれだけいるか、全国の実態をつかむことを求めると同時に、別途議論の場を求めました。さらに、基本要求は義務的再任用の教職員定数の枠外化であるが、少なくても定数外とし、その予算確保を求めました。また、高校授業料への所得制限導入に際して、生徒のプライバシーを侵害する事態がおき、文科省としてそれを改善する通知を出すよう要求してきたが、その徹底を求めました。
 交渉の最後に北村委員長から、今年度も「ゆきとどいた教育を求める全国署名」を110万筆提出したことを踏まえ、教育の充実、とりわけ学級定数の引き下げが国民的な要求になっていることを再度強調し、交渉を終了しました。

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