2009年 3月16日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
政府は3月13日、ソマリア沖の海賊対策と称して、海上自衛隊の護衛艦を派遣し、さらには自衛隊の武器使用拡大を狙う「海賊対策」新法案を国会に提出することを閣議決定しました。
周知の通り、ソマリア沖の海賊問題の背景には、ソマリアの無政府状態と国民生活の困難があります。したがって、憲法9条を持つ日本の国際貢献としては、海賊対策は犯罪対策であり、マラッカ海峡での実績もある海上保安庁が中心となり、資金、技術面で周辺国への援助行うことが求められています。
ところが今回の閣議決定は、「はじめに自衛隊の派兵ありき」の立場で、海外派兵の実績づくりを累積し、なし崩し的に海外派兵恒久法に道を開くものです。集団的自衛権行使にも関わる平和憲法の根幹に抵触する重大な動きであり、満身の怒りを込めて抗議するものです。
「海賊対処法案」は、現行法では許されない他国の船舶の保護も対象となり、正当防衛・緊急非難の武器使用基準を緩和し、船舶に「著しく接近」する海賊船に対し発砲を認めるなど武器使用を拡大する危険な内容となっています。
私たちは、憲法改悪の一環であり、「戦争する国づくり」の橋頭堡となる「海賊対処法案」を阻止するため、現在、「ソマリア海賊対策での自衛隊派兵に反対する署名」運動にとりくんでいますが、引き続き、職場・地域で危険なねらいを明らかにし、廃案をめざし全力で奮闘するものです。