2009年 1月23日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
自民・公明両党の「海賊対策等プロジェクト・チーム」は1月22日、現行自衛隊法に基づく「海上警備行動」として、海上自衛隊の艦船をアフリカ・ソマリア沖に派遣することを決定した。まず、自衛隊法の「海上警備行動」として派遣し、さらに「海賊対策新法」を制定しようとしている。
これは憲法違反の海外派兵を現行法のもとで行おうとするものであり、許されるものではない。
政府も認めるように海賊対策は、第一義的には警察力である海上保安庁が対応すべき仕事である。海上保安庁の保持する力を生かし、マラッカ海峡での海賊対策に貢献したように、資金、技術面で国際協力することが求められている。
ソマリア沖の海賊行為を取り締まる隣国イエメンの沿岸警備隊当局者も、自衛隊艦艇の派遣について、「高い効果は期待できず、必要ない。むしろ我々の警備活動強化に支援してほしい」とのべ、基地港の新設、高速警備艇の導入への財政援助や海上保安庁による技術指導などを要望としてあげた。
ソマリアは、中央政府も機能しない状態で、生活に困窮した漁民が海賊になっていると伝えられている。根本的な対策として、ソマリアの国家としての再建による国民生活の安定が、なによりも必要である。ソマリア担当の駒野欽一大使も国際社会が連携してソマリアを破綻国家から抜け出すための支援策こそが求められることを指摘した。憲法9条をもつ日本としてやるべき国際貢献は、民生安定や海賊対策のための人道的・技術的援助である。
こうしたソマリア沖海賊問題解決の包括的な検討なしに、「とにかく自衛隊を海外派兵させたい」という思惑を優先させた自民・公明両党の動きは、自衛隊の海外派兵の恒久化にも道を開くものである。私たちは、日本政府・防衛省が、現行法にもとづきソマリア沖に自衛隊を派兵することについてもまた、「海賊対策新法」を制定することについても反対するものである。