『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

  • 全教共済
オピニオン

【談話】『教職員の中に増え続ける病気休職者に対応する抜本的な対応策を求める』

                   2008年12月26日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男

 文科省は、12月25日、2007年度に全国の公立小中高・障害児学校の教職員で病気休職した者の数が、8060人となり、初めて8000人を超え、過去最高となったことを公表しました。うち、精神性疾患による休職者数は4995人となり、病気休職者数の約62%を占める事態になっています。こうした事態の背景には、長時間過密労働が恒常化している学校現場の実態と教職員への管理統制が強化される中での共同や同僚性が損なわれていることがあることは明らかです。

 文科省が07年に公表した「教員勤務実態調査報告書」によれば、教職員の長時間過密労働は恒常化しており、平均で月40時間を超える残業と20時間を超える持帰り仕事に追われているという勤務実態が明らかになっています。しかも、労働基準法で一斉取得が義務づけられている休憩時間すら、ほとんど取れていません。
 同時期に実施された「教員意識調査」では、「仕事を通じて成長できている」「仕事に誇りを持っている」「仕事にやりがいを感じている」「学校の他の教職員から学ぶことが多い」などと回答する率が高く、教職員の多くがやりがいと充実感を持って教育活動にあたっている一方で、「休日出勤が多い」「自宅に仕事を持ち帰ることが多い」「体調が悪くても休めない」「学校の中で休憩や休息をとりづらい」「仕事量が多すぎて今のままでは長く続けられそうにない」など、きわめて強いストレスを日常的に受けている実態も明らかにされています。
 
 病気休職者と精神性疾患の教職員が増え続けることについて、文科省は、各教育委員会が「職場での支えあいが希薄になった」ことを要因の一つとして挙げていますが、「職場での支えあいが希薄になった」背景には、透明性の欠如した教職員評価制度や、摘発・排除を目的とした「指導不適切教員」政策、また、学校現場で必要とされている教職員増が実現されずに長時間過密労働が恒常化していることなどがあることは明らかです。全教は、今すすめられている教員政策を再検討することを強く要求します。
 
 今回、公表された数値が、あくまでも「休職者数」であることを考えれば、この数値は「氷山の一角」を示すものであり、制度的に休職できない1年目の教職員や、年休や病気休暇で休んでいる教職員の数を加えるなら、さらに深刻な実態にあるといわざるをえません。
 教職員が生き生きと元気に教育活動にあたれることは、なによりも子どもたちの教育にとって重要なことです。全教は、教職員を減らすのではなく、行革推進法を廃止し、国の責任による30人学級の実現をはじめとしたゆきとどいた教育の実現をめざして、父母・国民とともに奮闘するものです。

                                              以上

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