2008年 5月21日
文部科学大臣
渡海紀三朗 様
公立学校共済組合は、100万人に及ぶ公立学校教職員の医療、年金を中心に、福利厚生全般を担う重要な組織であり、その運営は、組合員の立場にたって適切・公正に行われなければなりません(地方公務員法第41条)。
しかし、文部科学省は、運営審議会委員の内、組合員を代表する8名全員を40年間にわたって日教組と全日教連の役員から任命しながら、「職員団体とは無関係に選任している」としてきました。
ところが、6月27日に行われた本年度第1回公立学校共済組合運営審議会において、任期途中であるにもかかわらず、組合員を代表する運営審議会委員の交代がなされました。
現在の運営審議会委員の任期は来年12月まであり、今回の交代は、3月に日教組の役員改選を受けて行われたものです。具体的には、日教組選出の運営審議会委員7名中5名が交代しましたが、その内4名は、3月に日教組役員を退任した者でした。
これは、運営審議会委員の任期よりも日教組の役員としての任期が優先されていることを事実として示しています。東京地裁判決においては、「運営審議会委員の任命については、地公共法7条3項が、組合の業務その他組合員の福祉に関する事項について広い知識を有する者のうちから任命しなければならないという規定をしているから、被告大臣は、候補者が同項の要件をみたすかどうか審査しなければならない」としましたが、今回の任期途中の任命は、その手続自体も密室ですすめられ、適正な審査が行われたとは到底いえないものです。
この間、日教組や全日教連の役員交代にあわせて、任期途中の交代を恒常化させてきたばかりか、そのことを、数万人に及ぶ公立学校共済組合員を擁している私たち全教に対して、その情報をもたらすこともなく実施してきたということについては、裁判をとおしても明らかにしてきましたし、6月の運営審議会にむけても、そうしたことが行われないよう是正を求めてきました。今回の事態は、政府・文部科学省が、裁判において、全教の推薦する候補者を任命審査の対象としてきたという主張の虚偽性を明白に裏づけるものです。
運営審議会委員の任命は、任命権者である文部科学大臣の自由裁量に委ねられているのではなく、地方公務員等共済組合法および定款などの法規定にしたがって公正に行うことが義務づけられているものです。
私たちは、今回の任命が全く異常な運用のもとに行われた裁量権の著しい逸脱と濫用ともいうべきものとして強く抗議するとともに、その撤回と公正任命をあらためて求めるものです。