『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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【談話】『「骨太の方針2008」の閣議決定について』

                   2008年 6月30日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男

 6月27日福田内閣は、経済財政諮問会議から「経済財政改革の基本方針2008」(以下「骨太の方針2008」の提出を受け、即日閣議決定しました。
 「骨太の方針2008」は、「成長力の強化」、歳出の「最大限の削減」をかかげ、社会保障費の削減など国民には負担を押しつける一方、「法人の税負担水準」「社会保険料を含む実質的な企業負担にも留意」と大企業優遇の「構造改革」路線をひきつぐものとなっています。
 また、「骨太の方針2008」は、「構造改革」路線がもたらした貧困と格差の拡大や企業のモラルハザード、後期高齢者医療制度問題に象徴される社会保障制度の切り捨てなど、現在の日本経済が直面している問題を正面から解決しようとしていません。そればかりか、「社会保障や少子化などにともなう負担増」に対して「安定的な財源を確保」「負担の先送りはしない」として、社会保障や教育などの予算増の要求を口実に、消費税増税を目論むものです。
 さらに、政府機能の見直しとして、「市場化テスト」や「道州制の導入」などを揚げています。しかし、これらは、大阪府の橋下知事のすすめる「行革」による府民施策の切り捨てにも現れているように、公務・公共サービスのいっそうの切り下げにつながる危険性を持つものです。
 教育について、「骨太の方針2008」が幼児教育の「将来の無償化」に言及し、当面「就学前教育の保護者負担の軽減策を充実」としていることは評価できるものです。しかし、改悪教育基本法の具体化のひとつである「教育振興基本計画」にもとづき、「愛国心」教育の強化などの「新学習指導要領の円滑な実施」や学校統廃合をすすめること、「国民運動」としての食育の推進などをかかげていることは、教育の国家統制につながるとともに、競争の教育の強化や教育条件の切り捨てにつながる重大な問題をもっています。
 教育は、未来への投資です。「先に削減ありき」では、「未来を切り拓く」どころか負の遺産を残しかねません。
 後期高齢者医療制度や年金をめぐって、国民の怒りが沸騰し、貧困と格差のなかで教育費や学費の無償化を求める声も高まり、国民生活重視の予算を求める国民の世論が、内閣を追い詰めています。
 私たちは、「骨太の方針2008」の具体化による国民犠牲、大企業優遇、アメリカ追随の経済財政運営を許さないとりくみに全力をあげるとともに、父母・国民との共同をいっそう広げ、来年度予算の概算要求期に向け、国の責任による30人学級の実現や教職員定数増、私学助成の増額など教育予算の増額を求めるとりくみに奮闘することを表明するものです。
                                              以上

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