2008年 4月21日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
中教審は、4月18日総会を開催し、改悪教育基本法に基づく「教育振興基本計画について(答申)」(以下「答申」)を決定し、文部科学大臣に提出しました。
「答申」は、道徳教育について「学習指導要領の趣旨を踏まえた」という文言を新たに加え、「適切な教材が教科書に準じたもの」として活用されるよう「国庫補助制度」を創設するなど、政府の教育内容への介入をいっそう深めようとするものとなっています。さらに、教育予算増、教職員定数増については、具体的な数値もなく、少人数学級にいたっては記述すらされていません。また、「小中学校の耐震化1万棟」も地方自治体に「要請する」として、国の責任も明確にされていません。
このように「答申」は、「教育振興」とは程遠いものとなっており、道徳への予算措置に特化したもので、総じて、やってはならないことを計画し、やらなければならないことは計画もしないものとなっています。
4月18日の中教審総会や、その後開かれた初等中等教育分科会と教育課程部会との合同部会でも、委員から「財源の確保を」「教員は、精神的、肉体的にギリギリ」「教員定数の改善を」との意見があいついだと言われています。
貧困と格差が広がる中で、高校授業料の負担に耐えかね中退する子どもや、給食費を払えずに苦しんでいる家庭も少なくありません。また、教職員の長時間過密労働は、教職員の心身を蝕み、病気休職者数は年々増加の一途をたどっています。
そもそも教育行政は、こうした教育現場を支援し、どの子にもゆきとどいた教育を保障するための教育条件整備に責任を負うべきものであり、教育内容に対しては不介入を貫くべきものです。全教は、あらためて教職員定数増や30人学級の実現、就修学保障の拡充などを政府・文部科学省に強く求めるものです。
今後、「教育振興基本計画」が閣議決定されれば、少なくとも今後5年間、教職員定数増などの教育条件整備に関する計画を策定せず、子どもたちに「愛国心」をはじめとする徳目押しつけ教育を推進するものとなりかねません。
以上のことから、全教は、「教育振興基本計画」を閣議決定することに反対するとともに、父母・国民、教職員の共同と団結を大いに強化し、国民の力で教育をつくるとりくみに、全力をあげるものです。
以上