2008年 2月25日 全日本教職員組合 障教部部長 杉浦 洋一
1.本日13時10分、東京地裁民事第36部、渡邉裁判長は、被告東京都に対し、東京都教育委員会が平成15年9月11日付で原告金崎満さんに出した、「停職1カ月の懲戒処分」と、「東京都公立学校長を解く旨の分限処分」を取り消すことを求める判決を行いました。
2.判決は、「被告が本件各処分で問題視する柔軟な学級運営について、原告が重度・重複学級を仮決定どおりに編制していなかったとか、学級を減じていた」と評価するのは適切ではなく、「重度・重複学級の一部を編制しないで虚偽の報告を行い、不正に教員の加配を受けた」事実を認めることはできないと指摘し、校長の調整権限を越えた勤務時間の調整や、東京都の通達、通知に違反する長期休業中の研修承認の事実が認められることを前提にしても、「本件各処分は、いずれも重きに失し、被告の裁量権を濫用ないし誤って行使して発せられたものといわざるを得ない」から、「本件各処分は取り消されるべきものである」としています。
3.東京都教育委員会の乱暴な処分の不当性を認める、当然の判決です。
4.全教は、2003年度に起こった七生養護学校事件と、金崎先生などに対する処分について、教育基本法改悪による「子どもたちのための教育から、行政言いなりの教育への転換」や、東京都における乱暴な障害児教育リストラによる「特別支援教育」制度を導入するための、見せしめとしてすすめられていることを指摘し、「金崎裁判」や「こころとからだの学習裁判」を全力で応援してきました。
5.判決が東京都教育委員会の乱暴な教育行政を断罪したことは重要です。同時に、障害を持つ多様な子どもたちに、その状態に応じてすすめている柔軟な指導に際限のない統制を行うことの不当性を示し、子どもと教育の視点に立つ判断をしたことも重要です。
6.この判決を確定させるため、東京都に控訴を断念することを要求します。
7.この判決が、東京都立の障害児学校の管理職などに生まれている、「子どもたちのための教育」をためらい、子どもたちの最善の利益より、都教委の顔色ばかり伺う学校運営のあり方を転換することの、そして父母と、教職員・学校が一体となった、子どもたちのために力を合わせる学校づくりの契機となることを心から期待し、そのために共に力を尽くします。
8.全国の全教組織のみなさんが、都教委に対し控訴断念の要請にとりくまれることを訴えます。