『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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【声明】『教育改悪3法案の衆議院本会議採決強行に怒りをこめて抗議する!廃案をめざして全力をあげよう!』

2007年 5月18日 全日本教職員組合 中央執行委員会

 安倍内閣と自民・公明の与党は、本日5月18日、衆議院本会議で教育改悪3法案の採決を強行しました。「教育改悪3法案は廃案に」「教育は大事な問題、拙速審議はやめよ」という多くの父母・国民、教職員の声に耳を貸さず、採決を強行した安倍内閣と与党に、満身の怒りをこめて抗議します。
 そもそも、教育改悪3法案は改悪教育基本法の具体化そのものです。それは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)の第1条に、これまでにはなかった「基本理念」を設け、そこに「教育基本法の趣旨にのっとり」という文言をわざわざ入れ込んでいることからも明らかです。
 しかも、昨日の特別委員会の質疑の中で、過去の侵略戦争を自存自衛の正義の戦争であった、とする「靖国史観」そのもののDVDを使った教育プログラムを、文部科学省が「新教育システム開発プログラム」の委託事業として採用し、公認するという重大問題が明らかになりました。このことをとおして、安倍内閣が、改悪教育基本法を受けて学校教育法を改悪し、義務教育の目標に「国を愛する態度」を入れ込み、押しつけようとしている「愛国心」が、過去の侵略戦争の正当化へ、子どもたちを「洗脳」するものであるという重大な本質が、白日のもとに示されました。
 また、このことによって、地教行法を改悪して国の地方に対する関与を強め、その関係を指示・命令に変質させること、また、学校教育法を改悪して副校長、主幹教諭、指導教諭という新たな職をつくり、上意下達の学校運営体制をつくることは、こうした偏狭な戦争賛美の教育を押しつけるための新たな統制のしくみづくりであるというねらいが、鮮明に浮き彫りになりました。
 同時に、教育職員免許法を改悪して免許更新制を導入し、教員を失業の危機におとしいれることは、こうした「愛国心」押しつけに異議をとなえる教員を免職させようというねらいをもっていること、また、教育公務員特例法を改悪して、「指導不適切」を理由に、免許更新の10年を待たずに、いつでも教員を免職させるしくみをつくることは、こうした「愛国心」押しつけ「指導」を行わなかったことをもって、「指導不適切」と行政権力が断定し、教壇から排除する制度づくりであることも明らかにされました。
 「靖国派」が政権中枢部にすわる安倍内閣は、憲法9条改悪を公言し、そのために、多くの国民の反対の声を押し切って改憲手続法を強行採決しました。これが「アメリカと肩を並べて海外で戦争する国づくり」のためであることは、多くの国民の前に明らかにされています。
 私たちは、改悪教育基本法を「戦争する国」の人づくりである、と指摘してきましたが、教育改悪3法案は、「戦争する国」の人づくりの具体化にほかならず、まさに、憲法改悪と一体のものです。このことがこの間の国会論戦と国民の運動をとおしてあらためて明らかになってきました。
 国会での論戦は、参議院に舞台を移しますが、「こんな悪法は、廃案しかない」という国民世論を急速に広げ、何としても教育改悪3法案を廃案に追い込もうではありませんか。そのため、教育改悪3法案の危険な本質を1日も早く多くの父母・国民のみなさんに知らせましょう。
 私たちは、9条改悪による「戦争する国」づくりはゆるさない、という圧倒的な国民の平和への願い、日々子育てにがんばっておられる父母のみなさんの、子どものすこやかな成長を、という願いと固く結び、教育改悪3法案の廃案をめざし全力を尽くす決意です。

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