2007年 5月17日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
政府、与党は本日夕刻、衆議院教育再生特別委員会において、教育改悪3法案の採決を強行しました。
憲法の諸原則に反して、教育のいとなみの破壊に導きかねない本質を持つ法案について、これまでの審議を通じて浮かび上がった重大な問題点の解明を行うことなく、採決を強行した与党に対して強い抗議の意思を表明するものです。
この3法案は、昨年末に強行された教育基本法改悪を具体化するものであり、憲法改悪と一体に、その先取りをはかろうとするものです。
学校教育法改悪は、「国を愛する態度」を子どもたちに押しつけて内心の自由を侵害するものです。しかも、押しつけられようとしている「愛国心」が、過去の侵略戦争を自存自衛の正義の戦争であるとする「靖国史観」であることが、本日の特別委員会の質疑を通して明らかにされました。きわめて重大な問題であり、この問題を放置したまま採決することなど断じて許されません。また、学校教育法改悪は、授業を持たない副校長や、主幹教諭などの新たな職をもうけて管理支配を強めるだけでなく、現場の長時間過密勤務をいっそう悪化させるものです。教員免許法等改悪は、教員免許更新制を導入して政府いいなりの教員をつくるとともに、行政権力が「指導が不適切」と断定した教員を免職にできる措置を導入するなど、乱暴極まりないものです。地教行法改悪は、地方教育に国が介入するしくみをつくり、教育の地方自治の原則に真っ向から背くものです。
これまでの審議においても、3法案が、憲法が定めた教育の原則に反しており、競争と強制によって子どもたちと教職員を追いたて管理し、学校教育を変質させるものであることが明らかになっています。
中央公聴会や地方公聴会においても、地方自治体当局者や地方教育委員会当局者を含めて、法案に対する懸念と批判が寄せられています。
私たちは、衆議院が、このような法案の可決を強行することなく、審議を尽くすよう、衆議院議長に強く求めるとともに、引き続き、教育改悪3法案の廃案をめざして全力を尽くす決意を表明するものです。