改悪教育基本法の具体化をゆるさず、民主教育をすすめる学習・討論集会を開催
全教は3月11日、東京・全労連会館で「改悪教育基本法の具体化をゆるさず、民主教育をすすめる学習・討論集会」を開催し、「参加と共同の学校づくり」の実践的意思統一をすすめるとともに、当面の全国一斉学力テスト押しつけを許さぬとりくみ、改悪教育基本法の具体化としての教育改悪3法案を阻止するたたかいの意思統一を行いました。この集会には、全国から116人が参加。
全教は、戦後教育運動史上特筆すべき重要な到達点を築いた教育基本法改悪を許さないたたかいについて、教訓を汲みつくし、憲法闘争を軸に憲法と教育の条理に立脚して教育を前進させようと、教育基本法闘争の総括・大学習運動を提起しています。本集会は、総括・大学習運動の出発点として位置づけられました。
中教審が教育改悪3法案について答申 具体化許さないたたかい強めよう
石元巌全教中央執行委員長は開会あいさつで、「中教審が昨日10日に伊吹文科大臣に宛てて、教育関連3法案の答申を行った。『教育再生会議』が教育に競争原理を徹底させ、改悪教育基本法の具体化を徹底しようとしている方向を追認するものだ」と批判。「いま子どもに必要なのは、人間をバラバラにする競争ではなく、温かい人間関係を育てることだ。主権者として生きる事と深くつながる学びが求められている」「日本国憲法にもとづく教育を国民全体で広く討論しながらつくりあげていくことが、たいへん重要になっている」と述べ、「本日の集会を契機に日本全国で草の根のとりくみを展開し、憲法改悪反対、教育改悪3法案阻止、全国一斉学力テストの押しつけを許さないたたかいを強めていくこう」と呼びかけました。
憲法と教育基本法の関係をどうとらえるか
堀尾輝久民研代表は講演で、憲法と教育基本法との関係をどうとらえるかについて言及。その中で、「教育基本法は改悪されたが、条文には『憲法に則り』という言葉が残った。それでは、果たして憲法の精神に則った『改正』なのかどうかということが、その次には吟味されてもいいという論理になる」と問題提起し、「憲法があり、子どもの権利条約を含む国際的な条約、あるいは宣言の原理というものがある。そして、それが提起している条理というものがある。それらとともに改悪された法律もきちっと解釈されなければならないという主張をする」ことが求められていると述べ、それは「まさに改悪の実現を許さないという一つのポイント」だと指摘しました。また、子どもの権利条約の視点で憲法の人権条項を読み直すことを提起しました。 >>【堀尾講演の詳細 はコチラ!】
「参加と共同の学校づくり」と結んだ国民的な運動を!
山口隆副委員長(教文局長)は基調報告で、教育基本法改悪を許さぬとりくみが築いた壮大な到達点について総括的に確認。①全教結成以来最大規模のたたかいだったこと、②労働組合、民主団体との共同・団結がかつてなく強まったこと、③教育についての国民的討論が戦後教育史上最大規模で展開されたこと、④目を見張る教職員の立ち上がりがあったこと、⑤教職員と教職員組合が果たした重要な役割に社会的信頼、権威が高まったこと、などをあげました。また、これらの到達点が「改悪教育基本法との実践的対決点としての『参加と共同の学校づくり』の条件を限りなく広げた」「国民的に教育をつくりあげる運動の展望を大きくきりひらいた」「憲法闘争を国民的に大きく広げる展望をきりひらいた」ことなどを指摘し、今後のとりくみに向かう教職員組合、教職員として、大きな地歩を築いたことを示しました。
そのうえで、「憲法と教育のいとなみに立脚してとりくみをすすめることのもつ重要な意義」について、「単に『教育基本法が改悪されたが、憲法がある』という位置づけではなく、教育の条理の根拠は、憲法に求めることができる」「改悪教育基本法は強行されたが、憲法と教育基本法=教育は一体という基本性格は変わらないし、変えようがない。したがって、私たちは、憲法に立脚するというとき、それは、教育を前進させるきわめて積極的な位置づけを行っていることを意味する」と述べました。
また、「参加と共同の学校づくり」についてふれ、「『参加と共同の学校づくり』は改悪教育基本法具体化との学校教育におけるもっとも重要な実践的対決点」であり、政府与党が「改悪教育基本法の具体化としての全国一斉学力テスト押しつけ、学校教育法、教免法、地教行法改悪という教育関連3法案の今国会での強行をねらっている」もとで、「『参加と共同の学校づくり』と固く結んで、教育についての国民的合意運動を」広げることが必要だと強調しました。 >>【基調報告 はコチラ!】
特別報告として、埼玉県教組の贄田副委員長からは、地域の労働者・市民と築いた教育基本法の改悪を許さないたたかいの埼玉での到達について、長野高教組の倉科書記長からは、県立高校の統廃合計画をめぐる教職員、生徒、父母、地域が一体となってすすめた運動を紹介しながら「参加と共同の学校づくり」の可能性について、大阪教職員組合の田中教文部長からは、関西の財界セミナーに講師として招かれた自身の体験について語り、「政策論争では一致しないが、人間として、社会として、子どもの『育ち』をどうするか」について話がすすんだことを紹介しました。
今後のたたかいへ積極的な発言 全国一斉学力テストについても意見が集中
フロアー討論では、「いままでにない共同が広がった。しかし、課題も残した。すべての教職員を改悪教育基本法の具体化を許さないたたかいにどう立ちあがらせることができるかが問われる。学習することが重要だ」(東京)、「子育てや教育についてこんなに語られたことはこれまでない。教職員と父母の共同が強まった。改悪教基法のもと、いっそう強く手を結ばねばならない。教員免許更新制なども『教員の問題』ではなく『親の問題』として受け止められるかどうかだ。『子どもにとってどうなのか』を問いかけて欲しい。教職員組合だけで走っていないか、お互いに振り返りながらがんばりたい」(新婦人)など、これまで築いてきた歴史的な到達点に立ったうえで、今後のたたかいに向けた積極的な発言がありました。
また、全国一斉学力テストについて意見が集中。「宣伝用のテープがほしい」(青森)、「『たいへんな問題』と地域の親から連絡が入った。親、地域とつながってたたかいたい」(島根)、「実施方法(「氏名」の記入の有無)が小6と中3で違う。文科省へ向けた必要な行動を」(北海道)、「PTAに学力テストの問題で要請を行った。怒りの声があがっている」(山口)、「実施まであと6週間。50万枚のビラと討議資料をつくり運動を広げている」(大阪)などの発言が相次ぎました。
教育改悪3法案の廃案求める署名に全力あげよう!
東森英男書記長はまとめの発言で、「緊迫した情勢の下、重要な集会として成功した。これからのたたかいの発展の契機となった」とし、全教が憲法改悪を許さないたたかいの先頭に立つ決意を述べるとともに、全国一斉学力テストの問題についてふれ、「小6と中3の実施方法での『記名』の有無の違いなど、道理がないだけでなく、矛盾点も明らかになっている」と指摘。「格差づくりと序列化をすすめ、個人情報の問題でも新たな重大な問題点が明らかになった全国一斉学力テストを中止に追い込む」と述べました。
また、「中教審答申を受け教育改悪3法案が国会に提出されるのは必至だ」とし、衆参両院議長宛の署名など廃案をめざし全力をあげるよう呼びかけました。