『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

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教育改悪3法案は廃案に!07夏季闘争5・25第1次中央行動を実施!【情勢報告】

【情勢報告】山口 隆 全日本教職員組合 副委員長
 国会情勢は、いま石井議員が指摘された通りです。私はこの国会の論戦を通して教育改悪3法案の何が明らかになり、そして、いま求められる行動は何なのか、という2つの点について、手短に申し上げたいと思います。

国会の論戦を通して教育改悪3法案の何が明らかになったこと
 第1は、学校教育法を改悪して押しつけようとしている「愛国心」の中身がはっきりしたことです。先ほど仰っていたDVDを一昨日観ました。どういう中身かと言いますと、「英霊」が現在の日本に青年として現れ、靖国神社の前で女子高校生にこう言います――「愛する自分の国を守りたい。そしてアジアの人々を白人から解放したい。日本の戦争にはいつもその気持ちが根底にあった」――まさに靖国史観そのものですね。あの過去の侵略戦争を「自存自衛の正義の戦争」「アジア解放の戦争」と描き出す。「村山談話」をも踏み越えた中身です。
 重大なことは、日本青年会議所はこれをやる授業を展開しようとしているのだけれども、これに文科省が「新教育システム開発プログラム委託事業」に位置づけて、言わばお墨付きを与えたという大問題です。従って、彼らが押しつけようとしている「愛国心」の中身そのものが、侵略戦争賛美の中身なのだということが明らかになった。
 第2に、地教行法に「指示」や「是正要求」を入れ込んで、国の関与を強めるという問題。これは何を強めるのか。伊吹文科大臣が「学校が卒業式などで国旗を掲揚せず、国歌も斉唱しなかった場合も『是正要求』できる」と答えた。法案では「子どもの教育を受ける権利が侵害されている場合」と書かれているのだけれどが、その中身は、つまり時の政府が決める教育内容を教えなかった場合に「是正」するという中身です。
 従って、学校教育法を改悪して、「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」などを置くことを出していますが、時の政府⇒教育委員会⇒校長⇒副校長⇒教頭⇒主幹教諭⇒指導教諭⇒教諭という上意下達の形をつくって、先ほど申し上げた「愛国心」を子どもと学校に押しつけようとしていることがはっきりした。
 第3は、教員免許更新制はそれに従わない教員の免許を剥奪して失業させる。そして、教特法では10年を待たずに「指導不適切」――この「指導不適切」というのは、一般の教育指導ではなく、「愛国心」指導をしなかったことをもって、「指導不適切」として教壇から追い出すというシステムづくりなんだという、とんでもない中身が明らかになった。
 
廃案にするために、いま求められる行動は何か
 ただ、いまの時点でこうした中身が広く国民の中に明らかにされているとは言い難い状況にあります。
 全教は、大急ぎでビラをつくりました。今日責了して週明けには構成組織の本部に届けようと70万枚をつくりました。戦争賛美の教育を子どもたちに押しつけてよいのか、そして憲法を生かして子どもと教育を守ろう、というビラです。早速、大阪からは13万枚、愛知からは10万枚という注文が寄せられています。一気に世論を高めて、何としても廃案にとがんばって行きたいと思います。
 また5分間の宣伝スポットも急遽作成しました。HPにアップされています。街々で訴え続けようではありませんか。文字通り、教育基本法闘争のようにたたかおう、ということを合言葉にして、今から1ヵ月をきった国会会期末(6月23日)までの奮闘で、何としても廃案に持ち込む。ともにがんばっていきたいと思います。
 これらの行動を強化するために、6月1日に大規模中央行動と日比谷野音で夜の大集会を構えます。是非、全国から東京に攻め上り、この大集会を結節点として、この国会、最終盤、押しに押しに押しまくって、なんとしても廃案にしようということを訴えまして情勢報告とします。

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