『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

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教育改悪3法案反対!子どもと教育の未来をひらく6・1中央集会を開催! 諸悪法阻止のたたかいと結んで国民の世論を大きく!【連帯あいさつ①】

【連帯あいさつ①】自由法曹団幹事長 田中 隆 弁護士
 こんばんは。ご紹介いただきました弁護士の田中です。集会参加者のみなさんに、自由法曹団1700名の弁護士を代表して、心からの連帯のあいさつを送りたいと思います。
 ちょうど2週間前の5月16日の昼でしたが、この日比谷野音の同じようの集会で発言しました。あの時、話したのは改憲手続き法でした。今日は、その手続き法にも若干ふれながら教育3法案についてお話します。

 第1に、教育3法案は改憲手続き法に勝るとも劣らないからくり法案で、そのことが審議の中で明らかになっているということです。
 教員免許改正法案は、教員のみなさんを必要か、切るかという重大な手続きに関する法律です。法案には、免許を10年間で失効させ、免許課程の講習を修了すれば、免許を更新すると書いてある。ところが答弁では、「講習を受けるだけではなく、筆記と実技の試験にパスしなければ、修了を認定しない」とした。しかし、一体この試験を誰が主体になってやって、誰が合否を判定するのかまったくわかりません。
 たぶん大学が修了を認定しても、教育委員会がそれを確認しなければ、更新しないということになる。その一方で、「教育委員会に推薦をしてもらって表彰を受けたら、講習なしに免許を更新していい」――こんな答弁をしている。これは要するに教育委員会の顔色を伺う教員をつくれと言っているのと同じです。
 法的に言いますと、首を切るかつなぐかにかかわる重大な法案なのに、どんな手続きが予定されているか法文からはまったくわかりません。こんな法案はからくり法案もしくは、欠陥法案と言う他にない。
 もうひとつ、地教行法では文部科学省の教育委員会に対する是正要求というのを展開しています。「いじめ自殺を放置できないから」――この辺りが最初の説明でしたが、これも答弁がどんどんエスカレートしていきます。「国旗の掲揚とか国歌の斉唱が行われない学校があったら、指導要領に違反をしているから是正要求をする」――こうなりますと指導要領と是正要求を武器にして、国旗・国歌を押しつけると言っていることになりまして、これは国旗国歌法にも抵触する。それだけではありません。国旗・国歌に限らず、指導要領に反する教育が行われると政府が見たら、是正要求を振りかざして、直接に介入することができるということになる。これまた、からくり以外の何ものでもない。

 第2に、そのからくり法案の審議のやり方です。日程を追って見ます。改憲手続き法が衆議院で強行されたのが4月13日。この日、教育3法案を審議する教育再生特別委員会が衆議院につくられました。以来、この2つの法案は、双子の法案のように審議され、手続き法が成立したのは5月14日。教育3法案が衆議院で強行されたのは5月18日。連休を挟んで、わずか1カ月。その間、特別委員会であることをいいことに毎日審議を入れ、参考人質疑や中央・地方の公聴会を直前になって決めて行わせる。
 これでは国民の目から見ると何をやっているかまったくわからない。ほとんどの国会議員も何をやっているかわからない。にもかかわらず採決する。立法府の機能を果たしていない、と言うしかない。
 ではなんで、国会の地位を低めるだけのこんな馬鹿なことをやっているのか。わかりますね。改憲と教育を売り物にしたいと言うか、もうほかには売り物がないことがわかっている安倍内閣が、どうしてもからくりがばれないうちに可決して、参議院選のポイントにしたいと考えている。それ以外に理由はありません。憲法と教育に対するこれ以上の冒涜はないじゃありませんか。

 第3。からくりには必ずねらいがあります。改憲手続き法の最大のねらいは、自民、民主、公明の3党で9条改憲の発議にレールを敷く、というところにあります。では、教育3法案のねらいは何か。
 一昨日、5月30日に規制改革会議の第1次答申|http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/index.html#firstreport|が発表されました。学校選択制の拡大、教員・学校への評価制度の導入、教育バウチャー制度の導入等々の教育改革が掲げられていますが、この教育改革は何のためか。生産性向上をはかる産業政策の目玉商品として掲げられています。
 また、今日発表された教育再生会議の|第2次報告も、徳目の教科化、教育予算への競争原理の導入、教員給与の弾力化等々を盛り込んでいます。教育3法案がつくり出す学校の形に盛り込まれようとしているのは、企業のための差別分断の教育であり、子どもを犠牲にする教育であることは答申や報告が自ら認めているのです。是非、そのことを広めていきたいと思います。

 最後にたたかいの意義と展望です。改憲手続き法案を追い詰めていったのは、実は参議院段階でのたたかい、とりわけ5月に入ってからの闘争でした。その闘争が手続き法のからくりのほとんどを打ち破り、自民・民主・公明の3党共同を頓挫させて、そして世論の「9条を守れ!」という声を拡大する。安倍政権にとって、もはや改憲は売り物にならなくなりました。双子の片割れである教育3法案の闘争も今日からの6月が正念場。参議院選挙があって会期延長はできません。特別委員会ではないので、連日審議もできません。会期切れになれば廃案になるしかない。
 問題点もねらいもすでに明らかになっており、安倍政権はいまや崩壊寸前の末期症状でいる。この状況で攻めきれるかどうかは、私たちとみなさんの運動にかかっています。

 今日の集会を契機に運動を大きく発展させて、からくり法・教育3法案を廃案に追い込むとともに、教育と子どもを守る運動と世論を大きく広げ、安倍政権が2度と「教育が売り物」と言えなくしてやろうではありませんか。自由法曹団はともにたたかう決意を表明して、あいさつとします。がんばりましょう。

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