■ 子どもたちを守る緊急行動の一貫として
昨年秋以降の世界的な経済不況のもとで、大企業による「派遣切り」など労働者の大量解雇、大量失業、生活破壊が大問題になっています。厚労省の発表によれば今年度末には、非正規雇用労働者15万8000人(40万人に達するとの業界団体の調査もある)が職を失うとされており、正規雇用労働者についてもソニーが1万2000人の解雇を発表するなど雇用不安の波が押し寄せています。
写真:深刻な相談が相次いで寄せられた緊急ホットライン
この事態は「子どもの貧困」が叫ばれる状況をつくり出し、未来を担う子どもや青年に深刻な影響を及ぼしています。現に、私立中学校と高校を合わせて、授業料を滞納した生徒が今年度末の時点で昨年度の3倍にあたる2万5000人(2・7%)に上っています(日本私立中学高等学校連合会の調査による)。さらに、お金がないため、「食事を与えられない」「病気になっても医者にかかれない」など、子どもたちの生命を脅かす事態が進行しています。
3~4月にかけては、入学金や授業料をはじめとする教育費の負担に困窮し、入学辞退や卒業を前にして退学せざるを得なくなること、諸経費の未納などが予想されます。また、卒業式・入学式にあたって授業料や入学金の未納者に対して教育的配慮を欠いた対応なども懸念されます。
全教、日高教、全国私教連は、こうした事態から子どもたちを守る緊急行動の一貫として、「入学金・授業料・教育費 緊急ホットライン」を3月8日(日)10:00~17:00、9日(月)12:00~19:00の2日間、開設しました。
■ 〝緊急ホットライン〟――開設時から鳴り止まぬ臨時電話!
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、NHKが事前にこのとりくみを報道したこともあり、初日の8日(日)、午前10時のホットライン開設時から、「授業料を滞納している」「私立高校への進学が決まっているが入学金のめどがたたない」など、授業料減免や奨学金制度にかかわる相談の電話が相次ぎ、用意した3本の電話回線は常につながっている状態となりました。この日、全国各地から寄せられた110件について、弁護士、学校事務職員、奨学金の会、生活と健康を守る会などの協力を得ながら対応しました。
○「母子家庭で失業したため、2人の子どもの授業料が払えない」(東京・母親)
○「自己破産した。入学金と授業料を払わなくてはならないのに…」(愛知・母親)
○「授業料滞納で、このままでは退学になる」(岡山・父親)
○「年収で奨学金を断られた」(大阪・父親)
○「不況で収入が5万円に減った。生活保護が受けられないか」(福岡・祖母)
○「就学援助の申請を続けているが、所得基準で認められない」(高知・母親)
相談内容は、大企業による非正規労働者の雇い止めなどによる雇用状況の悪化や賃下げによって収入が激減していることや、不況の影響を受けて中小企業や自営業の経営が深刻なまでに悪化していることなど、保護者の生活破壊がすすみ、子どもの就修学に深刻な影響を及ぼしている実態が浮き彫りになりました。
全教は、全労連・国民春闘共闘の春闘集中回答指定日にあたる3月11日に予定される春闘要求にもとづく文科省交渉でも、「緊急ホットライン」にあらわれた深刻な実態を示し、文科省として「子どもたちの就・修学と、卒業生の就職を保障する」緊急の対応をとることを求めていくこととしています。
※ 今回の「緊急ホットライン」は終了しました。