『クレスコ』

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クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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子ども中心へ切りかえ、教育予算の増額を! 経済財政諮問会議へ1701団体分の署名提出!

 全教と教組共闘は6月10日、経済財政諮問会議に対し、「2010年度政府予算において教育予算等の増額を求める署名」1701団体分を提出し、「教育予算を子ども中心へと抜本的に切りかえ、拡充すること」などを強く求めました。
 
 この要請には、本田久美子全教副委員長をはじめ、杉浦洋一教組共闘事務局長、藤田新一日高教書記長、小村英一全国私教連委員長らが参加。経済財政諮問会議側から内閣府の和田勝行企画官が対応しました。


写真:経済財政諮問会議に教育予算の増額を求め要請

〝教育予算を子ども中心へと抜本的に切りかえ、拡充を!〟 
 
 冒頭、本田全教副委員長が「『骨太の方針2009』は、国民のくらしを最優先に策定し、教育予算を子ども中心へと抜本的に切りかえ、拡充すること」など要請の項目にかかわって政府の姿勢を質すとともに、参加の各氏が発言し、教育予算の増額を求めました。

 
〝日本の保護者の教育費負担は際立って重い!〟 
 
 教組共闘の杉浦事務局長は、「日本の保護者の教育費負担は際立って重く、とりわけ、幼児期と高校、大学の時期の負担が国際的に比しても極めて重い。実態は、文科省自身が明らかにしていることだ。そういう中で、経済危機期がかぶさり、子どもたちの修学は深刻な状況となっている。また、少子化や経済格差が次の世代に引き継がれる問題などが、教育費の高負担の中で起こっている。教育費の負担軽減について、枠組みを超えた施策がとれるようにしていただきたい」と述べるとともに、特別支援教育に関わっても言及。「通常学級に在籍する発達障害児の教育が脚光を浴びている。しかし、課題はなげかけられたが、総定数が抑制されている中で教員は増えず、実際には前進していない状況だ。文科省も定数を増やす努力をしているとはいえ、1年間で300人程度であり、学校の数は小中学校だけで3万5000だ。これではまったく間に合わない。教育予算の増額がどうしても必要だ」と述べました。
 
〝私学助成の対前年度比-1%の縛りを外すことを求める!〟 
 
 全国私教連の小村委員長は、「高校教育は、子どもたちにとって一種のセーフティネットの役割を持っている。高校を卒業するということは学力や人間形成だけの問題ではなく、資格の問題として非常に重要だ。それをきちんと保障していくための財源が必要だ。そして、高校の無償化を生活保護世帯だけでなく、その上の収入400~500万円の層が私学に通えるように、どれだけの手当てをしていくかを問題意識とする必要がある」と指摘しました。また、「私学助成の対前年度比-1%という『骨太の方針2006』の縛りはまだ生きている」とした上で、「地方交付税の措置を中心としての財源化ということが、この間やられている。私学高校の授業料に対する支援は県の単独措置だけだ。文科省の財源として縦割りはしない、基本的には学校への補助という形で私学助成はやられてきた。その部分をあらためて地方交付税だけでなく、文科省の予算としてしっかりやるという流れをつくることが大事だ」と述べ、-1%の縛りを外すこと、文科省予算で高校の授業料のための財源を用意することを求めました。
 
〝すべての子どもたちに教育を保障するとの観点が必要だ!〟 
 
 日高教の藤田書記長は、「『骨太の方針』が出て2倍になったものがある」とし、「大企業の内部留保が2倍になる一方で、授業料減免者、生活保護受給者が2倍になり、高校生の非正規雇用が2倍となった。卒業した時点で職がないということが学校現場で語られている」と述べました。また、修学をめぐる問題について「奨学金の併用ができないなど矛盾が起こっている。文科省や厚労省、内閣府のやっている政策を整理して、実態に見合う制度が求められている。3000億円あれば高校の授業料は無償化できる。高等教育も含めた無償化に踏み出すことを強く要望する。すべての子どもたちに教育を保障していく、という観点で教育予算を組むことが必要だ」と述べました。
 
「幼児教育の無償化を検討」(企画官)に「高等教育の無償化の検討も!」と全教 
 
 経済財政諮問会議担当の和田勝行内閣府企画官は、公表した『骨太の方針2009』(素案)の内容について、「昨年から比べ経済危機が急速に悪化したという事態を踏まえ、昨年と同様の記述では政府の責任果たせないと、教育の記述については昨年を上回る記述をした。例えば、『修学困難な高校生・大学生への公平な教育機会の確保のための制度(授業料減免等教育費負担の軽減)の質的充実・拡大』することを盛り込んだ」と述べました。
 
 また、教職員定数について、「人が増やせないという事情については変わりない。その中でいかに工夫をしてやるかということだ」と述べ、非常勤講師の活用や外部人材の登用を示しながら、「『多様な手段を通した学校のマンパワーの充実』と記述した。これをたたき台として文科省と財務省の間でやっていただけると考えている」と述べました。
 
 全国私教連の小村委員長の指摘について、「〟生活保護世帯だけでなく、その上の階層にどう対処するか〟ということは、たしかに重要な問題であり、議論が必要だ。ただ財源の問題抜きには語れない。前年度比-1%についても与党で合意された内容として生きているので、政府としては遵守していかなければならない」と述べました。
 
 また、高等教育の無償化については、「『段階的な無償化』(国際人権規約第13条)を留保している問題は承知している。無償となれば財源問題が出てくる」と方向性についての回答を避けつつ、「高校教育ではないが、幼児教育については昨年より記述を増やし、財源の確保とセットで『幼児教育の無償化について総合的に検討する』と今回、盛り込んだ。少しずつではあるが前進していると考えている」との見方を示しました。
 
 最後に、本田副委員長は「高等教育の無償化に向けても考えていただきたい。また、義務教育の部分についてもあまり触れられていないが、教育予算を増やして教職員の定数を充実させるということが教育を発展させていくことにつながる。教育予算の増額を重ねて要望する」と要請を締めくくりました。

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