『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年11月号 10月20日発行〉

【特集】ともに歩もう! ジェンダー平等と教育の世界へ

  • 全教共済
ニュース

2024年度政府予算に対する文部科学省概算要求にかかわる交渉を行いました

 全教は8月4日(金)、文部科学省と「2024年度政府予算に対する文部科学省概算要求にかかわる要求書」にもとづく交渉を行いました。全教から宮下直樹中央執行委員長をはじめ8名、文科省からは村尾崇初等中等局財務課長はじめ5名が参加しました。

 要求書の手交に続き、宮下中央執行委員長が、物価高騰等のもとで貧困と格差の拡大がすすむ中ですべての子どもたちが安心して学ぶことができるため給食無償化など教育無償化の推進、教員の自主的自発的な研修をおこなうことができる環境の整備、全国学テの悉皆実施中止を強く求めました。


 
 全教が重点要求として「教員の担当授業時数の上限を設定し、授業準備、授業整理の時間を確保することをめざし、当面、小学校20時間、中学校18時間、高校15時間を目標に計画的に改善すること」と求めたのに対し、文部省は、「持ちコマの授業時数をできる限り軽減していくことはすごく大事」だとし、6月に閣議決定した骨太方針に基づいて、「小学校高学年の教科担任制の強化によって」「全体的な教師の平均持ちコマ数の軽減を図っていきたい」と回答しました。

 また、全教の「各地で深刻化している教員未配置(教師不足)の解消のために、緊急的な対応に加え、抜本的な改善策を講じること。『定数くずし』による臨時教職員の拡大・多用化をやめ、その要因となっている総額裁量制を廃止し、任命権者において正規教員の配置を原則とすることができるよう国として必要な予算措置をすること」という要求に対して、文科省は、緊急的な対応の一環として、本年度から「先読み加配」をスタートさせたことを挙げ、正規教員配置のための予算措置としては、小学校の35人学級・通級の基礎定数化、加配定数による小学校高学年の教科担任制の強化を繰り返し述べ、都道府県教委に対し、計画的な正規教員の採用配置に関する通知、正規教員の割合を設定し、目標値に向かって積極的に正規教員の採用をすすめてもらうよう周知していると回答しました。

なお「定数くずし」について特定教科を担当する教員が少ないときに非常勤講師に置き換えることができるようになったという肯定的評価とともに「総額裁量制がその臨時的任用教員を増加させているというしくみにはなっていない」と回答しました。

 最後に、全教の「給特法の見直しにあたっては、時間計測が困難な勤務の見合いとしての定率の給与措置を確保したうえで、『時間外勤務を命じない』原則を堅持しながらも、発生した計測可能な超過勤務に対し労基法37条に基づく割増の時間外手当を支給できるよう改正するとともに、時間外勤務が生じないように教職員をふやすこと」という要求に対して、文科省は中教審に諮問し、教師の処遇改善のあり方について具体的な検討をお願いしているところだという回答にとどまりました。時間外勤務手当の支給については「検討の対象から排除されることはない」が「教師が自発的に授業準備のために残っていること」について、「残業だとカウントすることがふさわしいかどうかということも議論する必要がある」としました。

 全教からは、給特法のもつ時間外勤務の歯止め機能が発揮できるよう、時間外勤務手当の支給のしくみの必要性を指摘し、そのために教職員を増やすことの必要性を改めて強調しました。

 最後に、教職の魅力アップのためにも、意見を述べていきたいことを伝えて交渉を終えました。

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