『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2025年4月号 3月20日発行〉

【特集】ようこそ「せんせい」2025

  • 全教共済
ニュース

2025年春闘方針および春闘要求にかかわる交渉

 全教は3月12日に春闘要求文科省交渉を行いました。「今国会に提出された給特法等改定関連法案では長時間労働や教員不足などの問題が解決しない。これでは学校がもたないと言わざるを得ない」と宮下委員長より冒頭のあいさつを行いました。

文科省との交渉内容は以下の通りです。

○「全国学力・学習状況調査」の悉皆実施を中止すること。拙速なCBT化をしないこと。

(文科省)
全国的な児童生徒の学力状況の把握、学力の課題把握を現状のエビデンスも集め、学習指導に生かすよう実施している。全国知事会でのアンケートで、悉皆に対する肯定的な意見が多く、学校現場の指導に活用していきたい。CBT化について、令和7年度は中学校理科、令和8年度は中学校英語、令和9年度より全面移行の予定である。

○「主務教諭」および「主務教諭に対応する給料表の新たな級」を創設しないこと。義務教育等教員特別手当の学級担任への加算は行わないこと。

(文科省)
主務教諭と新たな給料表について。業務をより効果的に行い、組織的対応のあり方の充実や、学校業務の効果的な体制のあり方、教育活動を横断的、教職員間の総合的な調整を担う職が必要と考えている。また、主務教諭を置くことにより、教職員間の相談体制、学校業務の取り組みの調整、各教員が抱えている教育指導の課題に対し、学校全体で組織的対応がよりしやすくなり、若手教員が1人で課題を抱え込まず学校全体で対応するしくみづくりになると考えている。それに併せ、職責と責任にあった処遇の制度化を議論している。
 義務特手当の学級担任加算について。学級担任は児童生徒の教育指導に加え、保護者対応も担任が中核となっており、その負荷、職責が時間的、質的にもあり、手当の加算を考えている。

○限定4項目以外の教員の時間外労働を命じることは違法であるとする給特法の趣旨を、すべての学校に徹底すること。在校等時間や持ち帰り業務を労働時間と規定し、やむを得ずおこなった時間外勤務については、時間外勤務手当・休日勤務手当が支給できるよう給特法の改正をおこなうこと。

(文科省)
 超勤4項目以外の時間外労働の命令について。校長、教育委員会が学校の学校の管理運営に責任があり、業務を行う時間を含めて管理するよう随時、周知徹底は行ってきた。
 教師の処遇について、中教審答申にもあるように、時間外の勤務手当の支給ではなく、教職調整額支給が効率性を有している。文科省としても時間外在校等時間の縮減を今後も図ることは極めて重要な課題だと考えている。これまでの取り組みは、一定の成果を上げてきたが、まだまだ不十分だと思っている。
 今回の給特法の改正案の中で、全教育委員会でしっかりとした取り組みを働き方改革として進めていくことが大変重要な課題であり、全教育委員会が働き方改革の計画を作り、実施状況を確認しながら前に進めていくことが必要だと思っている。計画策定と実施状況の把握、公表を制度化する法改正案に入れている。時間の縮減は、業務の量を減らしていくことと、先生方あるいはスタッフの方々の数を増やすという両面でやっていかないといけないと思っている。

○国の責任による早期の小・中学校、高校での35人以下学級実現、「20人学級」を展望した少人数学級のさらなる前進を図ること。さらに、加配による単年度の教職員定数改善ではなく、義務標準法・高校標準法の抜本的な改正をおこなうとともに、定数改善計画を策定すること。

(文科省)
 教職員の定数の改善について。義務標準法の改正を行い、計画的な定数改善をやっている。平成29年に行った義務標準法は、10年計画で、通級指導、日本語指導も基礎定数で改善してき、小学校の35人学級は令和3年の改正で法律に基づいて計画的に行っていく。昨年末、財務大臣との合意の中で、定数改善について、今後4年間の計画的な改善で合意をされ、令和8年度から小学校の方が7年で35人学級が完成し、中学校の取り組みも合意してるところである。我々も計画的な定数改善ということは非常に重要課題と思っている。

(全教)
 こういう直接の意見交換をして、私達も政策決定に関与すべきと思っている。それが本当に実効ある改革になる。意見交換の機会をぜひ設定していただきたい。

 

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