全教は3月10日(水)、文部科学省と「全教2021年春闘要求書」にもとづく交渉を行いました。全教から小畑雅子中央執行委員長、檀原毅也書記長をはじめ5名が参加し、文科省からは三木忠一初等中等教育局健康教育・食育課長ほか計6名が参加しました。交渉冒頭には、全国学テの悉皆実施中止を求める要請署名2175筆を提出しました。
冒頭に小畑委員長から、東日本大震災・福島原発事故から10年を迎えるにあたり、子どもたちの心のケアなど現状を踏まえた復興支援策を継続・発展させることを改めて求めました。また、国会審議入りした義務標準法改正について、少人数学級を止めることなく中・高にも実現し、コロナ禍の下で安心・安全の学習環境を整え一人一人の成長発達を保障する教育を進めるために、少人数学級前進とともに抜本的な教職員定数増を強く求めました。
交渉は4つの重点要求にそってやりとりが行われました。
コロナから子ども・教職員のいのちと健康を守るために、必要な検査体制の整備を
全教の要求に対し文科省は、子どものPCR検査については地域の「保健所において適切に判断されるべき」とし、教職員への検査実施についても「現時点では学校現場の努力があり、学校での感染者は出ていても抑えられて」おり、費用や実施体制への負荷を考え、一律全員に実施することは考えていないとの回答でした。全教からは必要な検査をしっかり受けられる体制をとることが不安解消につながるとして現場の実態を踏まえた対応を求めました。
教員免許更新制度はただちに廃止を
文科省は、中教審教員養成部会での意見を踏まえ免許更新制度に対する教職員の負担感や人材確保への影響に触れ、中教審で検証をすすめ必要な見直しの検討を行うと回答しました。60代免許所持者への更新免除の要求については、制度の主旨から「年齢にかかわらず…最新の知識を身に着ける機会をもつ」ことを強調しました。文科省が「教師の確保に支障をきたさないような更新制度の見直し」をすすめ、現場の先生方の認識と合っているか確認すると述べたことに対し、全教は「教職員不足の大きな要因になっていることは明らか」として改めて強く制度廃止を求めました。
「1年単位の変形労働時間制」をおしつけるな
文科省は「1年単位の変形労働時間制」は「あくまでも休日のまとめどりができるという選択肢を広げるもの」で、「各自治体の判断により条例で選択的に活用」でき、教職員組合との交渉事項であり強制するものではない旨を回答しました。全教からは、各地の状況から「各学校での検討を踏まえて」というプロセスがないがしろにされていること、また、手引きやQ&Aの内容は「あくまで一例」で必ずしもそのステップを踏む必要はないという文科省の見解が各教委に示されているとすれば大問題だと指摘しました。
実効ある設置基準策定で特別支援学校の過大・過密解消を
全教から全国の願いを集めて作成した「提言」「設置基準案」について紹介し、設置基準策定に向けたスケジュールや内容について質しました。文科省は、マスコミが報道した3月末までに策定するとは「対外的に一言も説明したことはない」と否定しました。また内容については、設置基準は学校教育法第3条に基づき策定するものであり、標準規模については別途検討していく必要があると述べ、具体的な内容に触れることはありませんでした。全教からは併せて新設への予算措置の拡充と教室不足調査を毎年実施する必要性を訴えました。