全教は8月11日、「2022年度政府予算に対する文部科学省概算要求に要求書」に基づく文科省交渉を行いました。交渉はコロナ感染拡大による緊急事態宣言が発せられているもとでオンラインで行われ、全教から宮下委員長はじめ計8名、文科省からは、村尾初等中等教育局財務課長はじめ計4名が参加しました。
冒頭に、宮下委員長が、コロナ禍が続くもとでの学校現場の厳しい状況を語るとともに、41年ぶりの義務標準法改正について改めて文科省の奮闘に敬意を表し、少人数学級のさらなる前進を求めました。また、1人1台端末をめぐる様々な現場の混乱にふれ、性急な教育のICT化でなく現場での十分な検討を保障するよう求めました。
全教は、教育予算増、少人数学級の前進、授業時数の上限設定、定数増の4項目を重点的に要求しました。
文科省は、「我が国の教育に関する公財政支出に対する対GDP比がOEGD諸国の平均と比べて低い水準にあるということは事実」と認め、すぐにOECD諸国平均並みに押し上げることは難しいが、国会での文科大臣の答弁も引用して教育投資の必要性を述べ、引き続き予算確保に努めると回答しました。
少人数学級については、きめ細かな指導の必要性は中・高も同じとして、まずは中学校35人学級をめざしていくこと、そのうえで今後の35人学級の検証結果を踏まえて望ましい指導体制の在り方について検討を進めていくとしました。
全教は、1958年の義務標準法成立時の授業時数についての文科省の基準や、2006年の勤務実態調査の数字等を示し、基準に合わない事態を15間年放置していた問題は重大として、持ち時間数の上限設定の必要性を改めて訴えました。また、小学校高学年教科担任制の導入にあたり、加配ではなく基礎定数に位置付けることを求めました。これに対して文科省は、授業時間については言及せず、学校の働き方改革を進めていく手段として教職員の業務の仕分けなど様々なことを一緒にやっていくことが必要と述べました。教科担任制の専科配置については、基礎定数の方が確保しやすいということはあるが様々なメリット・デメリットを勘案して検討していくと答えました。
全教は、長時間過密労働の解消には教員を増やすことが必要と強調するとともに、文科省が現在行っている教員不足調査結果の公表や来年度予定している勤務実態調査の実施について質しました。
最後に、檀原書記長が、コロナ禍で政府予算の使途について国民の関心が高まり、教育費の公財政支出を増やすということでの国民的な支持の得られるもとで、子どもたち・現場の教職員を支える立場で文科省の概算要求に向けた奮闘を求めて交渉を終えました。