『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年10月号 9月20日発行〉

【特集】教職員の長時間労働と「中教審答申」を問う

  • 全教共済
ニュース

事故被害県の代表も参加して福島原発事故にかかわる文科省交渉

 
 全教と日高教、全国私教連の3委員長が連名で提出した、「福島原発事故にかかわる子どもの安全確保と教育保障についての要求書」に基づく文部科学省との交渉が、6月28日(火)に行われました。交渉には福島県立高教組の他、茨城高教組、宮城高教組、東京都教組、埼玉県教組、全教千葉からも代表者が参加しました。
 

今回提出していた要求書は、大震災、原発事故発生から80日余の段階で福島県を中心とする職場の要求を基本にまとめられ、子どもの安全確保・教育保障にしぼって項目整理されたものです。交渉の冒頭で、磯崎副委員長は「文科省として『安全神話』に固執したことへの責任を自覚し、原発からの撤退を決断し、抜本的な対策を迅速に、公私格差なく行え」と訴えました。
 重点要求に対する文科省の回答では、○「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」は、子どもたちが受ける放射線量をできるだけ引き下げることをめざす考え方で、夏休みの終わる頃までをめどにして作成したので今後についてはさらに検討して示していきたい。○校庭の汚染された表土除去については公立と私立の差なく、関係1都6県に補助をする。○エアコンの設置については現行の補助制度で対応できるし、要望にも応えていきたいが、私学については枠組みがないので現在検討中である。○放射線量を計測する線量計は福島県内の学校に配布し、2週間に1回報告を上げてもらっている。○教職員の加配については4月以降行ってきている(4月28日岩手・宮城・茨城・新潟の4県に424人、6月24日岩手・山形・福島・茨城・栃木の義務制度に603人、岩手・宮城・福島の高校に53人)。今後も万全な体制を取っていきたい。  

 文科省の回答に対して、「県教委の機能が低下している。表土除去の予算はあっても業者の選定ができないなど、まだ手つかずの状態。高校にも線量計は必要だし、将来的な健康被害も心配。高校への加配は少なすぎる」(福島高)、「グランドの表土除去は、費用の4分の1が実際には(私立)学校の負担となっている。全額公費でまかなってほしい。線量計はその場の、その時間の値がわかるものを」(全国私教連)、「『暫定的考え方』通知が福島だけでなく、全国の学校や地域に混乱を招いている」(茨城高)、「福島以外にもホットスポットがあり、親も教職員も不安。行政によっては文科省とは違う基準を出している」(埼玉)、「現場の教員が保護者にきちんと説明できる、わかりやすい文章を出してほしい。宮城の北部地域でも危険な放射線量値が出ている」(宮城高)など、現場の切実な要求を伝えました。
 文科省からは「『暫定的な考え方』だけが強く出てしまったことは反省している」「線量の計測は実態にあったものにしていきたい」と再度回答がありました。最後に全教今谷書記長は、子どもたちにとって明日が見える措置を、一刻も早くとることを要求し、交渉を終えました。

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