「せんせい ふやそうキャンペーン」実行委員会は、4月25日、キャンペーン開始にあたっての記者発表をおこないました。新聞社、テレビ局など12社14人の記者が出席し、たくさんの質問が続き、関心の高さをうかがわせました。
まず、実行委員会事務局の吹上勇人全教生権局長がとりくみの趣旨と内容を報告し、呼びかけ人の梅原利夫民研代表運営委員、加藤健次全教常任弁護団代表、小畑雅子全教中央執行委員長が発言しました。
梅原さんは、「一人ひとりのニーズに合った教育をすすめるためには、それだけの人の確保、予算の確保が必要。日本社会は、公教育にあてる財力があるはずなのにGDP比でたった2.9%と、OECD諸国の最低レベル。国民的な運動を起こして、風穴を開けていきたい。今の学校の現状、息苦しさを打破し、子どもにとって学びがいのある、教職員にとっては、やりがい、働き甲斐のある学校をつくっていく契機にしたい。今年は子どもの権利条約採択30年。子どもの最善の利益を実現するためにも、大きな世論がつくりあげられるよう期待する」と述べました。
加藤さんは、「公立学校の教職員は、給特法により原則時間外勤務を命じられず、時間外手当が支払われない。長時間労働の実態は誰も否定できないにもかかわらず、文科省は『自発的な勤務』だとみなして時間外勤務を払おうとしない。給特法を見直し、時間外手当を払うようにすべきだ。その目的は、残業代を支払わせることではなく、それだけ教職員の数が足りないことを直視させ、定数改善に踏み出させることにある」と述べました。
また、1年単位の変形労働時間制の導入について「今の事態がよくなると言うが、そんなことはありえない。教職員は夏休みもヒマではない。1年単位で調整すれば何とかなるという問題ではない。何より、学期中の長時間労働が容認されてしまうことが問題。所定時間の延長でごまかすのでなく、時間外として認めるべきだ」と問題点を指摘しました。
小畑さんは、「松野元文科大臣が、教職員の長時間過密労働は『看過できない』問題だとして中教審に諮問したが、答申は全国の教職員が望んでいたものとは程遠いものだった」として、審議の中で今の時間外勤務に手当を払うとしたら約1兆円が必要だという数字があきらかにされたことを指摘し、「小中学校で13万人を配置しなければ解決できないことだとわかっていながら、定数改善に踏み出していないことに憤りを感じた」と述べました。
1年単位の変形労働時間制の導入について、「柴山文科大臣でさえ『勤務が縮減されるものではない』と認めている。1日8時間労働の原則を壊し、長時間労働を覆い隠すもので、何の解決にもならない」として、「1年単位の変形労働時間制の導入ではなく、教職員定数の抜本的改善をという要求を、社会的に広く訴え、政府を動かす運動にしていきたい」とキャンペーンの意義を訴えました。