全教は8月7日、「2019年度政府予算に対する文部科学省概算要求に要求書」に基づく文科省交渉を行いました。交渉には、全教から中村委員長ほか計10名、文科省からは、合田初等中等教育局財務課長ほか計4名が参加しました。
冒頭に、中村委員長が「子どもの成長・発達を保障するための教育条件整備が求められており、とりわけ安心・安全な学校、学級編制基準の改善、教職員の長時間過密労働解消などのための条件整備が国の責任において行われることが重要であること」を指摘し、現場の切実な声を受け止めて教育政策を前にすすめていくことを要望しました。また、子どものいのちと安全を守る立場からの文科行政の推進、相次ぐ文科省幹部の汚職事件にかかわる真摯な対応を強く求めました。
交渉は、教職員増、担当授業時数の上限設定、全国学テ中止の3項目を重点的に要求しました。
文科省の回答は、学級編制、義務・高校の標準法の改正については、通級指導等について加配定数の基礎定数化や専科教員の加配をすすめていること、また学級規模について現在実証研究中であり、その結果を踏まえて今後の方向性を定めるということ、現時点では来年度予算において「学級編制・学級規模について引き下げる内容での概算要求をする方向にはない」ことを述べました。
担当授業時数の上限設定については、学校基本調査による小中高の担当時数の数字を示し、特に小学校の1日の授業に充てている4時間25分は「決して少ない数字とは考えていない」とし、引き続き改善に取り組んでいくと答えました。
全国学テについては、従来の回答を繰り返すとともに、英語については予備調査の結果を踏まえて現場の負担を軽減するとしながら、来年度からの実施に固執する回答を繰り返しました。
全教は、4月、5月の教職員未配置調査を踏まえ、未配置問題が子どもたちの学習権の保障という点で大きな問題であり、教員増を求める現場の切実な声を伝え、基礎定数を厚くし正規採用を増やすこと、国が率先して35人学級に切り替えていくことがより安定的な教職員配置につながることを強調しました。また、高校現場からも少人数学級についての要望が強まっており、統廃合問題にもかかわり地域の存続にもつながる問題として高校標準法の改正を強く求めました。
長時間過密労働解消については、文科省通知に出されたように定期的に地教委にフォローアップしていくというのであれば一定の上限規制をやってこそ「看過できない」状態を改善する力になるとして、財政的措置で実質的に改善を図る努力をすることを求めました。文科省は、10年前と比べて増えているのはいわゆる主担当でない授業の負担であり、小学校で先生方が学習指導も含めT2に回らなくてもよいような環境を作っていくということが必要と強調しました。
全国学テの問題については、大阪市の対応など結果による序列化、競争的な状況に一層拍車がかかっている状況を示し、学テが制度として抱える課題をあらためて指摘しました。また、英語の予備調査で多くの不具合があった実態やアンケート結果から来年度からの実施の中止を求めました。