『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年10月号 9月20日発行〉

【特集】教職員の長時間労働と「中教審答申」を問う

  • 全教共済
ニュース

「教職員の長時間過密労働の解消を求める要請書」を財務省に提出

 12月15日、全教は財務省に対して要請をおこない、教職員の長時間過密労働の解消につながる予算措置を強く求めました。全教の「教職員の長時間過密労働の抜本的な解決を求める全教の提言」も手渡し、子どもと教育のために「教職員の働き方改革」が実効あるものとなるよう求めました。

 全教からは、米田雅幸副委員長、宮下直樹書記次長、波岡知朗中央執行委員が要請。財務省は、吉田圭一財務省主計局文部科学係主計官補佐が対応しました。



 まず、米田副委員長から趣旨を説明した上で次のような要請をおこないました。

「文科省の『教員勤務実態調査』の結果でも『学内勤務時間』が長時間になっている実態が明らかになった。

 給特法では原則として時間外勤務を命じないことになっている。しかし、文科省も看過できない実態だと、大臣も表明した。長時間過密勤務は教職員の健康の問題であると同時に子どもたちの教育にかかる重要な課題だ。『提言』にまとめたが、文科省調査によっても担当するクラスの子どもの数が多いほど長時間労働になっている。そういう点からも少人数学級は子どもたちの教育条件の問題であると同時に教職員の長時間労働を解決していくうえでも効果があると文科省も認めている」

 「国会答弁でも授業時間数1時間に1時間の準備が必要だと言われている。しかし、全体として準備時間が勤務時間内にとれないという実態にある。そういったことの解消を求めたい」

 「いま各地で『全国学テ』対策がひどい。知事が選挙公約で『全国平均で10位以内をめざす』などというが、平均点で全国平均以上にすべての県がなるはずはない。しかし、そのために学校で過去問をやらせる、『全国学テ』当日に答案をすべてコピーして採点する、全体調査の前に学校が独自で調査するなど、競争主義的教育が子どもも教職員も多忙に追い込んでいる実情がある」

  次に、波岡中央執行委員から「小学校から中学校・高校までの35人学級実現」と「必要な教職員定数改善」を求めました。

 さらに、宮下書記次長から「学校における働き方改革」に関して、「中間まとめが出るが、教職員の課題が複雑化し現場からも同じ感想が寄せられている。生徒指導上の課題もあり、障害を持つ子や外国人児童生徒への日本語指導、さらに、生活困難な子どもに対する貧困のケアなど、きめ細やかな対応が求められている。業務の効率化は現場でもすでに努力しているが、それでも長時間勤務にならざるをえない実態がある。そこを把握して効率化だけでは対応しきれないことを理解してほしい。解決するためには教職員定数を増やす改善が必要。具体的には35人学級を実現してほしい。これが緊急の課題であることの理解を重ねてお願いしたい」と求めました。

 これに対して、財務省からは、「日本が直面している少子高齢化の問題。日本は資源もなく“人で勝負”していかなければならない。高等教育も大事だが、初等中等教育段階がとても大事。子どもたちをどう育てるか、重要な課題。教職員の定数確保については必要な数を確保しなくてはならない。財源あればと思うが、赤字国債では子どもたちに将来の負担を背負わせることになる。どこまで拡大するか課題である」「働き方改革でも、事務が大変。部活も大変。月80時間の超勤、やらんでいいと誰かが言わなければならない。やることとやらないことを整理し、しっかり示すべき。事務作業の効率化も、事務職員の活用などですすめてはどうか」と回答がありました。

  2018年度政府予算が来週にも閣議決定するという時期であるため、2019年度予算編成につなげる意味で意義ある要請となりました。

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