全教は7月1日、地方組織などから5人の代表とともに、ジュネーブのILO本部にあるCEART事務局を訪問し、今年1月8日に全教がCEARTへおこなった教員の長時間過密労働の解消と臨時教職員問題にかかわる申し立てへの追加情報を提出しました。今回の行動を通じて、CEARTが日本政府に対して2回にわたり、全教の申し立てに対する回答を求めていること、国際レベルでの教員の働き方や非正規労働者の課題などについて確認することができました。
追加情報提出にあたり、CEART事務局のジョン・センダノイエ氏と労働者活動局のアムリタ・シエタラムさんが応対されました。今回、全教から提出した追加情報は全教・全教臨時教職員対策部・北海道高・高知・長野高・新潟高・京都市教組からの7本でした。
参加者からの追加情報と口頭による説明を聞き取ったジョン氏は、全教の申し立ての趣旨を踏まえた上で、今回の懇談により日本の教員の問題がより正確にとらえられたとし、「今回の申し立てについては、日本政府に4月までの回答を求めていたが届いていない。CEARTは再度6月に7月末までに回答するよう要請をおこなった。政府の回答のいかんにかかわらず、2015年のCEART定期会議で検討されることになる。」と述べました。
全教としては、今回の申し立てをCEARTからの日本政府や地方教育委員会に対する積極的な勧告に結実させていくために、各構成組織の協力を得ながら、2015年の会議に向けて、さらに追加情報をCEARTに提出していくとりくみをすすめていきます。
【参加者の感想】
◇ 小鹿和男書記長(臨時教職員対策部・青森県教組)
今回の懇談の大きな成果は「同一労働同一賃金の原則に著しく違反している現状は提訴に値する」「臨教問題の改善には、労働組合の積極的運動が不可欠だ」という2点を確認できたことである。今後の運動への大きな示唆をいただいた。
◇ 畑山和則書記長(高知県教組)
「CEARTやILOなんて遠いところの話」と思っていましたが、今回の追加情報についてのやりとりを通じて、「身近な存在だ」ということを実感しました。しっかり問題点を理解し、改善するためにはどうしたらいいかを一緒に考えてくれている、そのことを繰り出される質問の中から感じました。
◇ 木村眞悟執行委員長(新潟公立高教組)
新潟県の臨時教員政策の実態の一つひとつについて、驚きをもって受け止めていただいた。「これ以上のILO条約違反の例を聞いたことはない」という言葉に、意味ある、価値ある要請だと感じた。安倍「教育再生」の嵐が吹き荒れているが、国際的な世論で追い込んでいるのは私たちであると勇気をもらった。
◇ 関原文明書記次長(北海道高教組)
北海道の再任用者が「実質辞退」を迫られている問題で、CEART担当者は北海道の地域の特殊性からも共感・理解を示してくれた。教育予算の増額などの課題を解決するために、全教の運動を通じて政治的な力関係を変える重要性の指摘は、非常に印象的だった。
◇ 吉田由美子書記次長(長野高教組)
国際的な機関の中でも独特なILOの「三者構成」(政労使が等しい資格で参加すること)と「男女平等」の大原則に基づいて崇高な倫理観を貫いた活動をしていること、そして日本社会の未成熟さと全教の運動の重要性をいやというほど感じました。