『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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「ILO勧告を生かし、教職員のディーセントワークについて考える国際シンポジウム」開催

 全教は5月15日、「ILO勧告を生かし、教職員のディーセントワークについて考える国際シンポジウム」を開催しました。海外からフランス中等教育労働組合(SNES)ロジェ・フェラーリさん、ポルトガル全国教員組合連合(FENPROP)アナ・ガスパールさんが参加し、EU内二国における教員の働き方と教育政策について報告しました。

 シンポジウムの冒頭、主催者挨拶をおこなった全教北村佳久中央執行委員長は、このシンポジウムの位置づけとして「国際基準に照らして、日本の教職員の長時間労働問題について考える機会とする」、「フランスとポルトガル、そして日本、三カ国の共通点を学びあう」ことにあると述べました。
 フェラーリさんは、新自由主義政策のもとで、教育予算は不十分で、教員の定員増は予告されているが、その数は不十分である。また、報酬は増えないまま、授業時数や授業以外の業務が増えるとともに、非正規雇用も増加している。これは政府が財政負担増を嫌っているからであると報告。
 ガスパルさんは、1974年の革命後、教育の「大衆化」もおこなわれ経済的・社会的理由で学校から遠ざかっていた子どもたちが学校に行けるようになったが、まだ、先進国と比べると、就学率は低く、大卒者は18%、非識字や落ちこぼれが問題だ。今は、新自由主義政策の押しつけのもと、制度全体が混乱に陥り、非正規教員の失業、急激な学校統合、労働時間が大幅に増加していると報告。
 この二つの報告の後、全教今谷賢二書記長が「日本における教職員の長時間過密労働の現状と課題」、一橋大中田康彦先生が「全教勤務実態調査の結果を見る中で」を報告しました。
 その後の質問で、二国の教職員の現状が、さらに深められました。「フランスの教員は授業が終われば基本的には帰る」という発言には、参加者から驚きの声があがりました。それとともに、シンポジウム参加者とフェラーリさん、ガスパールさんの思いは、子ども・教育のため「連帯し反撃することをあきらめずに続けること」などの共通点も浮かびあがりました。
 シンポジウムは、最後に「国際的な状況や国際基準に学んで運動を進めることの重要性、人間らしい労働を取り戻すたたかいに力を注ぐ」ことなどを確認し、閉じました。また、閉会の中でSNESのストライキ闘争(シンポ当日)に対し、要求前進のための連帯メッセージ送ることを、参加者全員で確認しました。

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