全教は、12月19日、日高教とともに「2014年度高等学校等就学支援金」の支給にかかわって文部科学省への要請を行いました。要請には、全から今谷賢二書記長、波岡知朗中央執行委員が参加し、日高教から藤田新一書記長、坂本次男副委員長、坪井一憲書記次長が参加しました。文部科学省は、財務課高校修学支援室の奥住優理専門職が対応しました。
要請は、先の臨時国会で「高校無償化」への所得制限を導入する法律が強行され、各県での制度設計に向けた作業を進んでいることをふまえ、国会審議などを通じて明らかにされてきた問題点を具体的な制度や運用に生かすことを求めてとりくんだものです。
冒頭、今谷賢二書記長が要請書を手交し、「全教は、高校無償化への所得制限の導入には反対である。参議院の附帯決議では『国際人権規約をふまえた後期中等教育の無償化の早期実現に向けての努力』にも言及されている。文科省としての努力を改めて求めたい」と強調しました。
要請書に対する文科省の回答と議論の特徴点は次のようなものです。
① 不徴収を続けるという都道府県の判断があった場合は、その判断は尊重される。お願いしたいくらいだ。
② 授業料徴収システムを再構築する費用などは全額国庫で負担する。必要な経費は措置する。
③ 制度の周知のためのリーフレットを都道府県教委経由で配布した。1月には、文科省から全国の中学校に直送する形で詳細なものを届けるようにしたい。
④ DV、ネグレクトなどの事情で所得証明の提出が難しい場合などの扱いについて、幅広く読めるように運用していただけるように事務処理要領に書き込みたい。全教の「校長意見でも支給可とする」ことを提案すると、「持ち帰って検討したい」と回答。また、事務室に持参する、郵送での可とするなどプライバシー保護を徹底したい。
⑤ 「学び直しへの支援」を具体化し、再入学の場合は、標準修業年限に2年を加えるようにと考えている。
⑥ 県が定める授業料が、国基準(月額9,900円の予定)を上回った場合には、就学支援金を支給することはできない。現在、そうした都道府県の動きは承知していない。
⑦ 教職員の負担増を生じさせないように求めると、「事務職員の方にやっていただくことを想定している、教員への負担増にならないようにしたい」と回答。「派遣職員で対応しようとしているところもある」と指摘し、あらためて、「不徴収にあたって事務職員を引き上げ、今回増員しないというのは、標準法からも問題、指導の徹底を」と求めました。
その他、国会審議で財務省が「予算編成の検討課題」との答弁に終始してきた「就学のための給付金」(給付制奨学金)の制度設計や都道府県のシステム整備などについても全教としての要求を示し、検討を求めました。