『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年11月号 10月20日発行〉

【特集】ともに歩もう! ジェンダー平等と教育の世界へ

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全教「父母、子ども、教職員の願いに応える教育予算を」 文科省「現場の教員、子どもたちが元気になってもらえるよう最大限の努力」 ~全教が文科省と2014年度概算要求交渉~

 全教は8月9日(金)、概算要求期に当たって、「2014年度政府予算に対する文部科学省概算要求についての交渉」を行いました。この交渉には、全教から、北村佳久委員長、中村尚史副委員長、今谷賢二書記長、米田雅幸書記次長、波岡知朗・土方功・山元幸一中央執行委員が参加しました。文科省からは、池田貴城財務課課長、酒井啓至財務課制度企画PT係長、奥住優理高校就学支援企画係専門職、濵健志朗参事官・企画学校評価係、山口真和初中教育企画課教育公務員係専門職が対応しました。

 交渉の冒頭、北村委員長は「えがお署名」の追加分として9、198筆を池田課長に手渡しました。全国から集められた署名の総数は94、958筆となりました。北村委員長は、「この署名と、本日の要求書に託された父母、教職員の願いを概算要求に反映していただき、子どもたちの願いに応える予算を組んでいただきたい。また、全教が昨年実施した勤務実態調査の最終報告書をお渡しするが、異常としか言いようのない教職員の長時間労働の実態が浮き彫りになっている。率直な意見交換ができる場を設けていただくことをお願いしたい」と、あいさつで述べました。それに応えて、池田課長は「今年は予算全体が厳しいが、その中でも現場で教育活動をしている先生方に元気になってもらえるよう私たちも最大限支援していきたい。子どもたちが安心して学んでもらえるような、予算、定数になるよう努力していきたい」と語りました。

 全教の重点要求に対し、担当者からそれぞれ回答がありました。

 「学級編成について、国の標準法を改正し、国の責任で35人学級を前進させること」の要求に対し、文科省の池田課長は「財務省との間で、学力調査の結果を検証してそれを学級編成のあり方に活かすという話になっている。学力調査の結果は8月下旬に発表できる。いずれにしても、現場の先生方が安心して教育に当たっていただけるように考えていきたい。少人数での教育、特別支援教育などの課題に応えられるものを、調整して26年度の概算要求に反映させていきたい」と回答しました。

 「公立高校授業料不徴収及び私立高校等に対する就学支援金の維持・拡充」の要求に対しては、奥住専門職が「自民党政権になり、無償化の見直しの検討を始めている。低所得者支援、公私間格差の是正という観点から見直している。より効率的な観点で、引き続き無償教育の漸進的導入という方向で教育費負担軽減に努めていきたい」と回答しました。引き続き「返還義務のない給付制奨学金の創設」の要求に対しては、同じく奥住専門職は「我々も認識は同じ。授業料以外の大きな負担を解消するために、低所得世帯への無償化措置を検討している。26年度以降に実現できるようすすめたい」と答えました。

 「希望者全員の再任用実現のために、標準法の枠外で定数確保を」の要求に対し、池田課長は「今年3月以降、地方公務員についても通知や事務連絡でお願いしている。これらを踏まえて自治体で対応していただきたい。枠外の定数確保については、定数の要求を全体でどうするか詰めている段階なので、ご要望を受けとめつつ、全体の中でどうつくって打ち出すかということ」と回答しました。

 「教職員の長時間労働の是正」について、濵参事官は「学校現場に求められている高度化、多様化している中で残業が多くなっていることは把握している。文科省としても、教職員指導体制の充実、定数の改善などのほかに、学校への調査の縮減・統合など見直し、公務の情報化などを進めている」と答えました。

 重点要求に対する文科省の回答に対して今谷書記長は、以下の点をただしました。

 定数改善の新しい計画に対する言及がなかったが、見通しをもった計画の作成が必要であること。国際人権規約の留保撤回は、すべての人の教育権保障のために無償化をするということであり、所得制限はありえないということ。「雇用と年金の接続」の問題は、定数と予算の問題で決着がつかなければ動かないということ。

 また米田書記次長は、「全教による調査で、教職員の持ち帰り仕事を含む時間外労働が、月平均90時間を超えているという事実が明らかになった。せめて勤務時間内に授業準備ができるように、調査・報告の簡素化だけではなく、定数改善を是非進めてもらいたい」と、強く要求しました。

 交渉の最後に北村委員長は、「賃下げが強行されたことにより、7月の給与支給日は各地の職員室で悲鳴があがった。義務教育費国庫負担金を2分の1に戻した概算要求にすることはもとより、教職員の賃金改善に向けて、政府内で気概をもった対応をしていただくようお願いする」と強く求め、交渉を終えました。

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