『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2025年1月号 12月20日発行〉

【特集】障害のある人のいのちと尊厳―優勢思想をのりこえる

  • 全教共済
ニュース

障害児学校の設置基準策定を ~58,000筆の署名を議員に託す~

 全国の障害児学校の深刻な過大・過密状態を解消するために、3月からとりくまれてきた「障害児学校の設置基準策定を求める請願署名」の提出行動が613日に衆議院議員会館で行われました。この日までに集約された請願署名は57,981筆で、集会に参加した宮本岳志(日本共産党)、青柳陽一郎(みんなの党)両議員をはじめ、紹介議員を引き受けて頂いた20名を超える衆・参両院議員に託しました。



 全国的に障害児学校の児童・生徒数の増加がすすみ、在籍者数はこの10年間で33,521人を超えています(2012年度文科省調査)。一方、学校建設はほとんどすすまず、教室不足は全国で4,633教室に及び(2012年度文科省調査)、150人規模の学校に300人以上の児童・生徒が押し込まれるなど、子どもたちの学ぶ権利を奪うばかりか、いのちと健康をも脅かしています。こういった事態の原因は、教育に必要な予算を削減している政府・自治体の姿勢と同時に、幼稚園から小中学校、高校、大学、専門学校まですべてにある設置基準が障害児学校だけにないことにあります。

 昨年11月には、障害児学校の保護者や関係者、教職員が全国から集まって現状を交流し、「障害児学校の設置基準策定を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会」を結成しました。そして3月から、上記の請願署名にとりくんできています。この間、マスコミでもこの問題は大きく取り上げられ、報道で実態を知った市民から「こんなことになっているとは知らなかった」「ぜひ署名に協力させてほしい」という電話やメールが会や全教に届いています。

 この日11時から行われた、全教・教組共闘「設置基準策定を求める運動交流集会」には、福井県や長野県の教組共闘組織の代表も含めて33人が参加しました。開会あいさつで北村佳久全教委員長・教組共闘代表幹事は「父母・教職員が力を合わせて大きな運動をつくり、文科省に設定基準策定を決断させていこう」と訴えました。吉田智明福井高教組委員長・教組共闘代表幹事は、福井県内の障害児学校の過密状態を報告し、「このことが教職員の労働条件の悪化も招いている」と報告しました。

 続いて12時から行われた、設置基準策定を求める会主催の提出集会には、請願署名の紹介議員になった宮本岳志議員(日本共産党)と青柳陽一郎議員(みんなの党)が参加しました。両議員は文部科学委員であり、「子どもたちのために、党派の立場を超えて設置基準策定を求めていく」と力強く述べました。会の副会長で、子どもを神奈川県の障害児学校に通学させている鳥居順子さんは「過大・過密状態は子どもたちにとって大変危険な状態。保護者と教職員で力を合わせて運動をしてきました。ぜひ設置基準策定を」と訴えました。

 この後、集会には参加できなかった紹介議員の部屋を参加者で分担して回り、熱い願いのこもった署名を託しました。当日時点で紹介議員を引き受けて頂いたのは、自民党5名、民主党4名、日本共産党8名、みんなの党2名、みどりの風1名、無所属1名の21名でした。

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