全教は、国民春闘共闘が設定した集中回答日の3月13日、春闘要求書にもとづく文部科学省交渉をおこない、教育費の無償化、給与削減措置を地方に迫る義務教育費国庫負担金や地方交付税の削減撤回などを求めました。交渉の冒頭、学力テストの中止を求める署名2万8361筆を提出しました。
冒頭、北村委員長があいさつに立ち、「希望のもてる政策」を実現し、「被災地の子どもたちのケアや教職員の健康を守ることのできる職場にするための予算を」と全教の予算への基本的な立場を表明しました。
続いて、初中局財務課長から予算案の概括的な説明と主に教職員定数にかかわる回答がありました。回答では、財務省・財政制度等審議会の5年間で1万人の純減という方針のもと、800人の改善増にとどまったが、文科省としては35人学級を引き続き前進させたいとの姿勢を示しました。しかし、「学力テストによる少人数学級の効果・検証」として悉皆調査の実施など、競争の教育を強化する方針を改めて表明しました。また、地方公務員の賃金を7.8%引き下げる政府の基本方針に準じて7月から義務教育費国庫負担金を削減する予算としていると回答しました。全教は、「政府が財界代表に賃上げを要請するなど新たな動きも出ている、こうした時になぜ地方公務員・教職員の賃金削減なのか」と迫り、義務教育費国庫負担金の削減の撤回、地方の判断や到達点を尊重する対応を求めました。
長時間過密労働の解消については、調査・報告を減らすこと、担い手を増やすことが重要と教職員増員の必要性を認めました。しかし、13年度予算では800人の改善増など以外には、「特別な外部人材の活用」「地域の教育力としてボランティアを活用」などにとどまっています。メンタルヘルス対策については、予防的とりくみや復職支援に重点を移し、3月末に対策会議で取りまとめがおこなわれる方向であるとしました。全教は、「勤務実態調査2012」の中間報告の結果も示し、「長時間過密労働の解消は待ったなしの課題、早急な解決が求められている」と文科省の具体策を強く要求しました。また、第30回定期大会で確認された給特法改正要求について、別途の交渉設定を求めました。
年金と雇用の接続にかかわっては、「国家公務員の制度設計がまだ行われていない」として、具体的な回答に至らず、「再任用の義務化に向けての議論」「現行の制度を前提」などの説明にとどまりました。全教が、「希望する者の再任用の保障」「せめて短時間再任用の定数除外」などを求めたのに対して、「総務省と連携して検討し、教育環境も考慮し考えていきたい」との回答にとどまりました。全教は、国家公務員の制度設計を受けて、改めて教職員にかかわる制度議論の場を設けることを求めました。
高校授業料の完全無償化については、「公私間の格差等は認識している」「課題の是正は必要」としながらも財政上の問題や「私学の授業料の設定にしばりをかけることになる」などとして、実現は困難としました。
最後に、教育予算の充実への姿勢を受け止めたいと表明し、あらためて現場を励ます教育予算、政策を求めて交渉を終えました。