5月15日(火)午後、全教北村佳久委員長以下役員(副委員長、書記長、書記次長)が高井美穂文部科学副大臣と文科省で会見を行いました。
最初に、北村中央執行委員長は、CEARTが提起している社会的対話の促進、また、憲法第14条が保障する「法の下の平等」の見地から文部科学省が対応されるよう求めました。
その上に立って、東日本大震災からの復興は国民的課題であり、全教としても可能な限り、復興に尽力したいと考えているが、文科省として現場の意向をくんで努力をと求めました。また、福島の原発事故にあたって、全教が発表した提言「放射能汚染・放射能被害から子どもたちを守るために」を示し、全教が「ふくしまの子どもたちにのびのびタイムを」とのとりくみも紹介しながら、政府の責任で原発のない社会を実現することの重要性を訴えました。
続いて、教員免許更新制について、全教が行ったアンケートのまとめを示しながら、「(更新制では)教育がよくならない」との回答が前回よりも増えていること、「廃止しかない」が8割近くある、このような実態を重く受け止めていただきたいと求めました。また、高校授業料の無償化や国際人権規約についても外務大臣が留保撤回の答弁をするなど、教育の無償化にむけた期待が高まっているなかで、それにふさわしい内実をつくる努力をと求めました。さらに、少人数学級についても引き続く前進を求めました。
加門憲文副委員長(日高教委員長)は、高校授業料の無償化に向けた文科省のとりくみへの敬意を表しつつ、給付制奨学金制度や「高校版就学援助制度」の実現に向けた努力を求めました。とりわけ、給付制奨学金については、日高教が作成した「奨学金マップ」を示し、国としての制度の実現を重ねて求めました。また、日高教が策定した「無償化時代にふさわしい新たな高校教育政策への日高教の提言」を手渡し、現在行われている高校教育にかかわる中教審の議論にも反映すること、そのためにも日高教として意見表明の場を設けるよう要請しました。
こうした要請に対し高井文科副大臣は、現場からの意見をしっかり受け止めたいとの意向を表明し、「ナショナルミニマムを保障するというのが一番で、裁量はできるだけ現場に任せたい」と述べました。その上で、教員免許更新制については、すでに制度が動いている中で廃止・中止とはいかないが、先生方の負担を軽くするようしていきたい。(アンケートなど)こうした声を踏まえて、できるだけ反映できるよう努力していきたいとの表明にとどまりました。
奨学金については、本当は給付型奨学金にしたかったが、財政事情等もあり「所得連動型」になったが、動向も見ながら進めていきたい。貧困の連鎖を断ち切るためにも教育の保障、機会均等と教育の質の保障というのは大事だというのは一致できるところだと考えている。高校無償化についても所得制限をという声もあるが、「もらった子、もらってない子」というようなことではいけない、後期中等教育の最低限の学びを支える制度として交代することなく続けていきたいとしました。さらに、義務教育段階の負担についても言及し、「みなさんから引き続き提言などいただければありがたい。私どもも努力をしていきたい」との立場を表明しました。
最後に、北村委員長が給食費等についての全国の自治体へのアンケート調査に触れ、各自治体の教育長や担当者の声にぜひ目を通してほしいとの要望を述べ、会見を終えました。