『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

  • 全教共済
ニュース

国民犠牲の突破口としての公務員賃金引き下げ反対、公務・公共サービス拡充を!  賃金引下げ法案を優先させる政府の閣議決定に抗議し、公務員賃金改善を求め、10・28総務省前要求行動



 政府が28日の午前中に人事院勧告の取り扱いについて、給与法改正案を国会に提出しないことを閣議決定したことを受けて、公務労組連絡会は、緊急に総務省前行動を展開しました。



 主催者を代表してあいさつした国公労連の宮垣委員長(公務労組・副議長)は、「政府は人事院勧告を無視して国家公務員の賃下げ法案の早期成立をめざすとする閣議決定を行った。人勧を無視した賃下げ法案の強行は二重の憲法違反である。人事院総裁も憲法違反にあたるとの態度表明をしており、賃下げ法案は何の道理もなく、野田内閣に法案を直ちに撤回すべきだ」と述べました。全労連の柴田副議長の激励のあいさつ、黒田事務局長の情勢報告に続いて、全教を代表して小畑雅子中央執行委員が次のように決意表明を行いました。
 「国家公務員の大幅賃下げとなる給与臨時特例法案を優先し、憲法違反ともなる勧告見送りの今回の閣議決定に満身の怒りを込めて全教からの決意表明を行います。
 今回の賃下げ法案優先の決定に際して、政府は、国家公務員の賃下げは、東日本大震災の復興財源を捻出するためと言っていますが、本当のねらいは、公務員総人件費削減という民主党のマニュフェスト達成で国民の支持拡大を狙い、消費税増税など悪政推進の突破口としようとしていることは明らかです。政府が進めようとしている『復興増税』は、10年間でサラリーマンや自営業者などに対しては、所得税などの増税で9兆円もの増税を押し付けるものです。一方で、大企業に対しては、10年間で11兆円もの減税をしようとしています。復興財源について『みんなで分かち合う』といいながら、実は庶民に増税した分は、すべて大企業の減税に回ってしまい、1円も復興財源にはならないのです。
 こうしたことが明らかになるにつれて、『復興のための増税反対』の世論が大きくなっています。このままでは、国民の理解が得られないので、公務員賃金削減を突破口にしようとしている、こうしたことは、到底国民の理解を得られるものではありません。実際、10%の賃下げで、GDPが3兆円も減少するとの試算に見られるように、今回の賃下げは、労働者の賃下げを加速させ、景気を悪化させ、結果として懸命に復旧・復興にとりくむ被災地のみなさんの足を引っ張ることになってしまうのです。こうしたことは、断じて許されるものではありません。
 26日の日本経済新聞には、財務省が義務教育費国庫負担金を最大で1,200億円削減するとの報道がされました。5月の交渉の時点では、片山前総務大臣は、「地方への遮断」を約束しましたが、国家公務員の賃下げによる地方公務員への影響が、すでにこうしてあらわれています。
 東日本大震災の甚大は被害の中で、子どもたちの命を守り抜き、自分の家族の安否確認ができない中でも避難所となった学校で奮闘してきた被災地の教職員の皆さんをはじめとして、全国の教職員は、子どもたちの豊かな成長と発達を保障する教育のために日夜奮闘しています。
 全教に寄せられた子育て中の教職員の声です。
『毎日帰りも遅く、休日も仕事しないといけない日々と1歳前の息子の育児で、ほとんど寝る間もなかったように思います。子どもを産んだことが悪かったのかと何度も考える日々でした』
『第1子を出産後復帰した職場は、子育てに対する理解がなく、通勤にも1時間以上かかり、何度も退職を考えた。短時間勤務の制度自体は存在するが、認知度が低く、取得することに罪悪感を感じた。直接『迷惑だ』と何度も言われた。これほどまでに子育てしながら働くことが辛くて苦しいものだと思わなかった』
 子育てそのものの苦労はあるとしても、本来喜びや希望であるはずの子育てを「辛くて苦しいもの」「産んだことが悪かったのか」と思わせてしまうものになっている学校現場の状況に胸が痛みました。
 政府のやるべきことは、こうした教職員のはたらく意欲をさらに高めるために、長時間過密労働を解消すること、教職員定数を改善することであって、賃下げを行うことではありません。憲法違反の賃下げ法案廃案に向けて、皆さんと力を合わせて最後まで奮闘ことを申し上げて、全教からの決意表明とします」

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