『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年10月号 9月20日発行〉

【特集】教職員の長時間労働と「中教審答申」を問う

  • 全教共済
ニュース

賃金引下げ法案を優先させる政府に抗議! ―「憲法・国家公務員法に違反する暴挙」ときびしく追及―

 人事院勧告を凍結し、国家公務員の賃金を7.8%削減する臨時給与特例法案を最優先させる政府の動きに対し、10月27日、全教は国公労連とともに主濱総務大臣政務官と交渉を行いました。この交渉には全教から北村委員長が出席しました。



 交渉の冒頭、国公労連の宮垣委員長は、9月30日に人事院勧告が出されて以降の交渉では、人事院勧告の取扱いについては、「その実施のための法案提出を行わず給与臨時特例法案の成立に努める」との回答であり、納得のいくものではないとして、主濱政務官に政府としての考えを正しました。
 これに対し、主濱政務官は本年の人事院勧告の取扱いについて、28日に予定している閣議において、人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出せず、既に提出している臨時特例法案の早期成立を期すものとする方向性で、政府としての方針が決定されるものと考えていると回答しました。
 この回答に対して交渉参加者は、以下のような問題点を指摘し、給与臨時特例法案の撤回を強く求めました。         

(1)政府は労働基本権が制約されている現行法の下では、基本的に人勧を尊重しなければならず、給与臨時特例法案の提出に加え人事院勧告を無視することは「2重のルール違反」である。
(2)「給与臨時特例法案は人事院勧告の趣旨も内包している」との見解は、情勢適応の原則に基づき出される人事院勧告の趣旨とは全く性質を異にするものであり、内包すると言うのは詭弁である。
(3)給与臨時特例法案は、労働基本権の制約の代償措置の最も重要な人事院勧告に基づかない給与引き下げであり、明確に国家公務員法及び憲法の規定に反している。

 また、全教の北村委員長は、

政務官からは、「人勧を実施するための給与法改正法案を提出せず、給与削減のための臨時特例法案の早期成立を図る」とする方針を明日決定する方向であるという回答であったが、わたしども全教としてもこの回答は受け入れることができるものではない。
民主党を中心とする政権が2009年に発足した際に、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にする、ともマニフェストの中で打ち出していた。今回の人勧をめぐる取り扱いと給与削減の臨時特例法案をめぐる政府の対応というのは、自ら国民に約束をしたこの立場を投げ捨てるものであり、国民に対する背信行為である。明日の決定については撤回するよう強く求める。
地方公務員に対する影響が遮断されるということの懸念を私は払拭することはでない。給与削減の臨時特例法案は撤回するが地方公務員と教職員にとっても何よりの担保である。民主党政権が当初国民に約束をされた憲法尊重の立場から今後とも対応するよう求める。  以上の指摘に対し主濱政務官は、以下のように回答しました。
繰り返しになるが、給与臨時特例法案は、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処する必要性に鑑み、一層の歳出削減が不可欠であることから、臨時の特例措置として行うものであり、政府としては、改めて皆さんにも御理解いただき、国会において早期に成立させていただくようお願いしている。
地方公務員への波及との指摘については、地方公務員法の趣旨を踏まえてそれぞれの地方公共団体が条例で定めるものであるから、引きつづき各地方公共団体において住民の納得が得られるよう情報公開を徹底するなど、自主的なとりくみをすすめ、適切に決定することが肝要であると考える。国家公務員給与引き下げと同様の引き下げを地方公共団体に強制することは考えていない。

 主濱政務官の再回答を受け、宮垣委員長は、(1)本日の回答を受け止めることはできない(2)改めて給与臨時特例法案の撤回と公務労働者の労働条件の改善を求める(3)私どもとの交渉でこのように大きな隔たりがある中で決定するという姿勢に抗議する と態度表明を行い、交渉を終えました。

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