全教は、10月20日、文科省に対して教職員の労働基本権に関する要請をおこないました。これは、総務省が「地方公務員の労使関係制度に係る基本的な考え方」を示し、それに対して全労連公務員制度改革闘争本部が9月28日に「意見書」を提出したこともふまえ、憲法と教員の地位に関する勧告に則った教職員の労働基本権の回復を求めたものです。全教からは、今谷賢二書記長、蟹澤昭三書記次長、中村尚史書記次長、米田雅幸中執が参加し、文科省初中教育局企画課教育公務員係の栗山和大文部科学事務官が対応しました。
要請の冒頭、今谷書記長から、総務省と交渉がスタートしたこと、そのなかで教職員の労働基本権については第一義的に文科省の課題とされ、また、内閣府の園田大臣政務官からは繰り返し文科省との交渉の場の必要性について言及されてきたことなど、この間の経過についてふれながら憲法に保障された基本的人権としての労働基本権の回復という位置づけを明確にした交渉・協議を求めました。
栗山文部科学事務官は、自律的労使関係制度については、総務省の「考え方」が示され、総務省を中心に文科省も必要に応じて具体的な課題を検討していくことになる、いま論点について案内できる段階ではないが総務省とは連携して検討するので遅れることはない、文科省としてはこの問題の当事者としての自覚はもっており、地方教育委員会や労働組合の意見をききながらすすめていきたい、と現状認識を示しました。また、全教との交渉・協議の場の持ち方については、今までも必要に応じて持ってきたが、法案化に向けては、今日の段階で意見聴取の場をこういう形でとはいえない、としたうえで、法制度としてつくるものと運用とするもの、現行制度と同じでいいのか変更するのか、地方公務員としての原則に教員の問題が収まるのかなど、論点はいくつもあると認識している、教育公務員特例法や義務教育費国庫負担制度など教育公務員の特性があるのは明らかで、それをふまえた検討が必要だ、と述べました。
全教からは、立場は違うが議論をしながら制度をつくっていくという立場に立ち、そうした観点で交渉・協議の場をつくってほしい、この間の義務特手当などの削減の経過などをみても中央段階で基準性をつくる交渉課題があることは明らかだ、教員免許更新制などのあり方については国段階で誠実に対応することが大事だ、また、校長権限が大きい学校において教職員が力を合わせて教育活動をすすめ、教職員が元気に働き続けられることは共通する願いのはず、働きやすい環境づくりにむけた協議をすすめることには大きな意義がある、などと指摘し、協約締結権を中心にした労働基本権回復が教育を前進させるものであることが強調されました。
国家公務員に関する関連法案が実質審議に入っていくなかで、地方公務員と教職員に関わる法案化作業もすすめられていくことになります。本日の要請が具体的な検討に向けた交渉・協議のスタートであることを確認しました。