『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年11月号 10月20日発行〉

【特集】ともに歩もう! ジェンダー平等と教育の世界へ

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現場のニーズ、保護者の要望に応えた予算に努めたい-全教が、2012年度文科省概算要求にかかわって要求交渉



 9月1日、全教は文科省と「2012年度政府予算に対する文部科学省概算要求」にかかわって交渉を行いました。例年8月末で締め切られる概算要求が、東日本大震災や政局の動向などから9月末に延期されたことに対応したものです。交渉には、全教からは北村委員長をはじめ7人が参加し、文科省からは初等教育局財務課伯井課長以下、高校就学支援室、児童生徒課、初中企画課、高等教育局学生・留学生課、スポーツ・青少年局学校健康課が参加し、対応しました。

○被災地の要求も盛り込んだ全教の要求に応え、積極的な予算要求を
 冒頭のあいさつで、北村全教委員長は、「全教として被災地の33の自治体に義援金を届け、懇談してきた。これらを通して伺った要求事項は、全教としても直接文科省に届ける責任があるので、本日提出した要求書には、これらを反映させている。給付型の奨学金制度や給食費の無償化、就学援助制度の拡充などを国の責任で実施して欲しい、子どもたちを放射能被害から守る対策をすすめて欲しい、などの切実な要求が相次いだ。被災地の期待に応える制度は、日本全国の子どもたちの願いに応えるものであるとの立場で、積極的な予算要求を求める」と強調しました。
 文科省は、伯井財務課長が、重点要求への回答で「学校現場のニーズ、保護者の要望に応えるような予算に努力したい」と述べました。

 重点要求と文科省の回答、その後の論議の概要は次の通りです。
○被災地の子どもたちの生活を守り、支える予算の確保を
 被災地の現状と教育要求への対応を求めた要求に、文科省は「被災地の教育支援のために、第1次補正予算で113億円の措置を行い、被災児童・生徒就学支援等臨時特例交付金をつくり対応している。継続的支援を行っていきたい」と回答。被災地の切実な要求となっているスクールバス運行の行政経費については、「7月に事務連絡を発出し、取り扱いを周知した」と述べました。また、被災地の教育費支援については、就学援助に対して第1次補正で対応していると回答するとともに、臨時特例交付金を活用した奨学金についても「全額国費で、貸与条件の緩和、返還免除など柔軟な制度設計をお願いしている」と回答しました。
 全教は、「被災学校のバスの借り上げは緊急の要求だ。周知して継続支援をおこなうこと」「校舎の現地原形復旧は困難であり、用地の確保や校舎建設に国が予算措置を」などと要望しました。継続的支援については、「被災地の要望も強いので努力していきたい」と述べました。
 
○小2以降の35人学級、見通しを持った計画の策定を、加配の扱いの改善を
 教職員定数改善については、「今年度、基礎定数として2300人増を行った。現在、副大臣が主催して検討会議を設置して議論している、少人数学級がさらにすすむよう対応したい」と述べました。全教は、「小学校2年生以降への前進、見通しを持った計画をつくる、加配定数を使う手法の転換が必要」と指摘し、回答を求めましたが、「計画については申し上げられる段階ではない」と述べるにとどまりました。
 
○給付制奨学金の創設を
 被災地支援の項でも「給付制については慎重に検討したい」と述べるとともに、無利子奨学金についても拡充への努力を回答しました。全教は、被災地で具体化されている事実上の給付制奨学金を、全国に適用する国の制度をとしての実現を重ねて要求しました。
 
○協約締結権の早期回復を、定年制も含めて全教との交渉・協議を
 教職員の労働協約締結権については、「総務省と連携してすすめたい。意見があれば随時お知らせいただきたい」と述べるとともに、定年制についても「ご意見があれば伺いたい」と回答しました。全教は、「長年制約されてきた労働基本権回復が意義あるものになるよう、全教との交渉・協議を積極的にすすめること」と要望。定年制延長については、公表された教員統計の中間発表でも50歳代前半にとどまっている離職年齢を指摘しながら、「文科省による施策が具体的に問われている」と述べ、「全教との交渉・協議をさらにすすめること」と要望しました。
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