『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

  • 全教共済
ニュース

文科省と2022春闘要求交渉を行いました

 全教は3月9日(水)、文部科学省と「全教2022年春闘要求書」にもとづく交渉を行いました。全教から宮下直樹中央執行委員長をはじめ4名、文科省からは村尾崇初等中等局財務課長はじめ6名が参加しました。

 春闘要求書の手交に続き、宮下中央執行委員長が、子どもたちにもコロナ感染症が拡大するなか、検査体制の拡充をはじめこれまで以上に国の責任で感染拡大防止対策を徹底することと、深刻な教員不足解消のためには長時間過密労働の解消が緊急の課題であり、そのためにも教職員定数増と全国学力テスト悉皆実施などの競争主義的な教育政策の転換を求めました。

 全教が「小学校高学年での教科担任制の実施にあたっては、実施強化や時間数について各学校が判断できるようにすること。担任間の授業交換や中学校教員の兼務を押しつけるのではなく、小学校教員の定数を増やし、各学校の計画に応じて必要な専科教員が配置されるようにすること」を求めたのに対して、文科省は、専科教員の配置のため2022年度予算だけでなく、小学校全学年で35人学級が完成する向こう4年間にわたって段階的にすすめると述べるとともに、外国語、理科、体育、算数の4教科に限らず学校規模や地域の実態をふまえた柔軟な対応が可能であることを回答しました。

 また、全教の「教職調整額を維持するとともに、給特法を改正し、学校現場と教職員の実態をふまえ、教育現場に相応しい時間外勤務手当制度をつくること」という要求に対して、働き方改革のために教職員定数増や支援スタッフの増員もすすめていること、時間外在校等時間45時間以内の割合が2016年度に比べ改善していることに触れつつ、2022年度に勤務実態調査を実施し、その結果を踏まえて給特法にかかわる法制的な枠組みを含めて検討するとしました。検討のテンポについては、2016年度の勤務実態調査を受けての中教審で議論が行われた例を示し、2023年度夏ごろから法的な枠組みの検討が行われることを示唆しました。

 次に、「教育データの利活用による個人情報の流失・流用がないよう必要な措置を講じること」という要求に対して、文科省はデジタル化のもとでの個人情報保護の課題とデータの利活用の両立を図ることをデジタル庁でも検討しているとしました。

 さらに、「高校における一人一台端末の購入等は公費負担とすること」を求めたのに対して、文科省は24府県が設置者負担で、23都道府県が保護者負担となっているという状況であり、文科省として低所得世帯への貸出用端末のための補助をしており、保護者負担としている自治体のなかで購入補助などを実施している支援策の事例を知らせると回答しました。また、端末に限らずICT環境全体の必要な支援の在り方を関係省庁とも協議しながら進めていくとしました。

 全教からは小学校のおける教科担任制のための予算が概算要求段階から大きく減少したことを指摘し、担任間の授業交換や中学校教員の兼務では、教職員の負担は解消しないため、教職員を増やすことの必要性を改めて強調しました。

 最後に学校現場の教職員の声をふまえて教育行政をすすめることを求めて交渉を終えました。

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