与党が改憲手続き法案と合わせ、教育改悪3法案の採決の強行をもはかろうとしている状況に、全教と教組共闘は、国会前で独自に250人を集めた集会を開くとともに教育改悪3法案の廃案を求める国会議員要請を行いました。
改悪教育基本法を許さないとの決意を行動に!
全教・教組共闘の国会前集会で主催あいさつした米浦全教委員長は、「憲法改悪のための改憲手続き法案の強行と合わせ、教育改悪3法案の強行を与党ははかろうとしている。戦争する国づくり、そしてそれを支える人づくりへの安倍政権の執念を示している。絶対に許してはならない。私たちは改悪教育基本法の具体化を許さない決意を固め合ってきた。その強い思いを行動に移す時だ」と力を込めました。そして、教育改悪3法案の重大な問題が国民に知られていないうちに強行してしまおうとの与党のねらいを指摘し、「そうであるならば、我われは今日の行動を含め、法案の重大な問題点を職場や地域の人々に伝えることが切実に求められている」と強調。「今日の行動は重要な意味を持つ。今日を境に急速に行動を盛り上げ、力を合わせ必ず廃案にしよう」と訴えました。
職場を基礎に父母と国民と共に世論広げ、たたかい抜こう!
続いて、山口全教副委員長が情勢報告。「改憲手続き法案と共に教育改悪3法案も緊迫した状況にある」と述べ、教育3法案が本来なら文部科学委員会で審議するべきものであるにもかかわらず、『週2回の文科委員会では審議時間が足りない』とする与党が、11日の衆議院議院運営理事会で今日か明日の衆議院本会議で、改悪教基法の時と同様の特別委員会(毎日でも審議できる)の設置を議決し、本会議での3法案の趣旨説明を行いたいと提案。それに対し、野党は一致して反対し、本日12日の理事会でも引き続き協議することとなっている状況を示しました。
また、教育3法案の危険な中身については――
学校教育法改悪では、第1に改悪教育基本法の第2条に『国を愛する態度』を入れ込んだことを根拠として、義務教育の目標にこの『国を愛する態度』を入れ込んで、改悪教育基本法と学校教育法の2重の押しつけのしくみをつくる。第2は、『副校長』『主幹教諭』『指導教諭』という新たな職をつくり、教育現場に新たな上位下逹の体制をつくる。しかも『副校長』は授業を持たず、『主幹教諭』『指導教諭』も極めて限られた授業時間とされるために、いまでもたいへんな長時間過密労働におかれている教職員がいっそう困難を強いられる。第3は、学校評価を努力目標規定ではあるが、これを改めて学校教育法に位置づけて、学校評価を強要し、時の政府の言いなりになる学校をつくろうという問題がある。
教育職員免許法と教育公務員特例法の改悪に関わっては、教免法を改悪して教員免許更新制を導入し、10年ごとに30時間の更新講習を義務づけ、これが認定されなければ免許を失効させ、失業させるという大問題がある。同時に10年間では不十分とし、『指導不適切教員』の名のもとに教特法を改悪し、『指導不適切教員』と認定された者に対する1年間を期限とする研修を行い、ここで認定されなければこれも免職にする、こういうことをこの法案はやろうとしている。文字通り、教員を『いつ失業するかもしれない』との強迫観念に常にさらして、しかもこのような不安定な身分に教員をおけば、教員志望者は激減することは火を見るよりも明らかではないか。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律に関わっては、地方教育委員会に対する国の関与を強める。私立学校に対する教育委員会の関与を強めて、これも国いいなりの教育行政をつくろうとするもの。
――と解説。「全体として、改悪教育基本法の具体化そのものであり、文字通り『戦争する国』の人づくりをすすめるために、教育に対する国の関与を徹底的に強めようとするもの以外の何ものでもない。こうした大問題を持つ教育改悪3法案を許すことはできない。この国会で何としても廃案に追い込むために、憲法9条改悪反対、改憲手続き法案強行反対、学力テスト中止を求める運動と深く結合し、すべての職場を基礎に圧倒的な父母と国民と共に世論を広げ、たたかい抜こう」と訴えました。
また、全教が午前中に行った学力テスト問題での文部科学省との交渉についてふれ、「個人情報保護をめぐって、それぞれの行政が自主的な判断を行ったにも関わらず、文部科学省が不当な圧力をかけてきたことを取り上げ、徹底的に追及した。あれこれのやりとりはあったが、『最終的には市町村の判断』と確認した」ことを紹介しました。
子どもたちのために最後までがんばろう!
続いて、新日本婦人の会の玉田恵事務局長が、「全教・教組共闘のみなさんとともに教育基本法闘争に全力をあげてきた者として、改悪教育基本法の具体化を阻止する座り込み行動に、心から連帯のあいさつをおくりたい」とあいさつ。新婦人が全国各地で行った「日の丸・君が代」などについて学校訪問を行う中で、「出席停止はいじめの解決にならない」「授業時間10%増やしても子どもの学力向上にはつながらない」など、率直な意見が校長から寄せられたことを紹介。「このことは私たちが教基法改悪を許さないたたかいが、日本の教育へ対する良心広げたということではないか」と述べました。
さらに、4月2日に全国一斉学力テストの中止、無記名を求める8氏の共同アピールについて語る中で、「文科省が〝無記名〟を決めたことは私たちが全国で広げている署名などのとりくみや世論の反映だ。文科省の横槍は許せないが、多くの教委が〝無記名〟を決めている。〝無記名〟を全国で広げていきたい」と述べました。最後に、「全教の署名とビラを活用し、教育改悪3法案をなんとしても廃案にするため、子どもたちのために最後までがんばりましょう」と結びました。
<<全教・教組共闘 各地の決意表明から>>
埼玉県教職員組合の北村書記長は、「国会前に立つと、12月15日のことをいまでも教育基本法が改悪されたことと悔しさを鮮明に思い出す。改悪教育基本法の具体化である教育改悪3法案などとんでもないことだ」と力を込めました。さらに、埼玉で導入された「主幹」(高校は06年、小中は07年から)は、授業も部活動も持つ普通の教員とされていたが、ある小学校では授業時間がゼロになり、校長や教頭を補佐するとの学校を階層化されるというような事例も示しながら、「平たい学校をタテ社会にするものだ」と強調。「私たちの拠り所は憲法。改憲手続き法案が重大な局面を迎えているが、国民の権利を保障している憲法を守り、改悪教基法の具体化である教育改悪3法案の成立を阻止するために全力をあげる」と決意を語りました。
仙台市教職員組合の遠藤書記長は、全国一斉学力テストの問題について発言。「学力テストは、人間の顔を学校から消し去るものだ」とし、「学校には教職員と子どもの間でいろいろな教育の営みがある。子どもたちの悩みに応えたり、授業や部活動をしたり、いろんな営みがあって学校は成り立っている。学力テストはそれらの営みを消して、すべての学校を点数で表すというものだ」と厳しく指摘。以前、4県合同の学力テストで仙台市のある学校で、事前に似たような問題をやらせたり、あるいは答えを教えたりと不正があったと述べ、「教育をゆがめるものであり、こんなことを許してはいけない。宮城県教組はみなさんと連帯して、子どもと教育を守るためにがんばりたい」と決意表明しました。
京都教職員組合の藤本委員長は、「京都でもこの間、改憲手続き法案と教育改悪3法案を絶対に許してはならないとの思いで、一大政治戦である一斉地方選挙に全力をあげてきた。その結果は悲喜こもごもあったが、改憲手続き法案阻止、教育関連法案反対を掲げる唯一つの政党である日本共産党の議席――政治的な力関係をほぼ維持できたことは、今後のたたかいへの礎を築いた」とし、投票日の翌日には、公務関係の労働組合とともに改憲手続き法案反対の駅頭宣伝を行っていることや、合わせて全国一斉学力ストの中止を求める運動に全力をあげていることを紹介。その上で、この間のたたかいの特徴について、「府民の怒りの声とともに地教委からも怒りの声が広がっている。国からの押しつけに国と地方教育行政との矛盾が激化している。地教委も含めた共同の条件が広がっている」ことだと語り、「こうした新たな動きに確信を深めながら、改憲手続き法案阻止と教育改悪3法案反対のたたかいに、全力をあげてる」と力を込めました。