全教は、経済財政諮問会議議長である、安倍首相に対し、「教育予算を子ども中心へと抜本的に切りかえ拡充」「就学援助の国庫負担制度の抜本的拡充、授業料減免制度の充実」「教職員を大幅増、国の責任による30人学級実施」「教職員給与削減を行わないこと」「私学助成拡充」など5項目について実現を求める、子どもたちにゆきとどいた教育を保障する2008年度予算を求める団体署名を提出し、子どもたちにゆたかな教育を実現し、現場の実態と見合った財政支出をするよう強く求めました。提出署名は2731団体分。
提出にあたり、山口隆全教副委員長は、「安倍内閣がモデルにしていたイギリスのブレア政権でさえ、教育予算をこれまでの約2倍にしている」と指摘。またOECD加盟国30カ国の中で、日本の教育予算が最下位であることを示し、骨太の方針2007の作成にあたり、教育予算の大幅増額を求めました。
また、日高教の藤田新一中央執行委員は、就学費問題について、「授業料を払えなくて中途退学せざるを得ない生徒が急増している。定時制や通信制の高校では、給食費も払えない生徒が出ている」と実態を述べ、さらに就職が決まらない高校生に対する支援予算の増額などを求めました。
全国私教連からは若山彰書記が、私学においても学費が払えず学校にいけなくなっているとの実態も伝えながら、「若者を育てるために」私学助成の大幅増額を求めました。
地域を代表して、都教組の渡部昌彦執行委員は、「教員の長時間過密労働が問題になっている」とし、都教組の調査で、475人の回答中300人余が「休憩0分」と答えたことを紹介。教職員の定数増が現場の切実な声であることを訴えました。また、少人数学級に東京都だけ、踏み出していないことにもふれ、「国の責任で30人学級をやってほしい」と述べました。
こうした要請に対し、内閣府の山口正行参事官補佐は、「教育改革は安倍内閣の柱の一つだ。教育再生会議の第2次報告を受けてとりまとめを行っている」と述べ、安倍首相から「教育予算については、効率化をすすめて、メリハリをつけていく中において、真に必要な教育のための必要な財源を確保していくという努力は続けていただかなければならない」という指示にもとづき準備をすすめている、と回答しました。
これに対し、山口隆全教副委員長は、「教育予算そのものを増やさなければならない事態が進行している」と述べ、「子どもたちが少なくなっているいま、かつては30人学級が1兆数千億円かかると言われたが、35人学級がいまでは3000億円でできると試算されている。教育条件を改善するチャンスでもある」と指摘し、「国民の生活や実態を踏まえた真剣な検討をお願いしたい」と再度求めました。