『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2025年1月号 12月20日発行〉

【特集】障害のある人のいのちと尊厳―優勢思想をのりこえる

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教育改悪3法案は廃案に!6・13中央行動を実施!【情勢報告】

【情勢報告】山口 隆 全日本教職員組合 副委員長
文科省 〝委託事業に「靖国DVD」含まない〟と明言 
 
 まず、最新の情報からお伝えしたいと思います。ついいましがた、本日11時30分より、子ども全国センターとして、文部科学省に対し、「靖国DVD」を使って教える日本青年会議所(JC)の事業を文科省「新教育システム開発プログラム」委託事業とすることの取消しを求めて、交渉を行いました。
 私たちの厳しい追及の結果、文科省は〝文科省がJCに委託した事業に「靖国DVD」を使って教える事業は含まれない〟と明言させることができました。
 これにより、今後各地域のJCが文科省のお墨付きを得たとして、学校に「靖国DVD」を持ち込む事は一切できなくなることになり、重要な到達点を築いたといえます。しかしなお、JCの自主的事業として持ち込む可能性は残されており、重大な中止と監視を怠ることなく、徹底することが求められています。
 子どもたちにかこの侵略戦争を「自存自衛の正義の戦争」「アジア解放の戦争」などと教え込むことは断じて認められません。引き続きとりくみを強めようではありませんか。  
 
教育改悪3法案のよこしまなねらいと重大な問題点が明らかに
 
 この間の国会審議をとおして、教育改悪3法案のよこしまなねらいと重大な問題点が明らかになりました。
 第1は、いわゆる「靖国DVD」 問題によって、学校教育法を改悪して義務教育の目標に「国を愛する態度」を入れ込み、子どもたちに押しつけようとしている「愛国心」は、過去の侵略戦争を「自存自衛の正義の戦争」「アジア解放の戦争」と描き出す侵略戦争賛美であることが明らかになったことです。
 
 第2は、地方教委行政法を改悪して、国が地方教育委員会に対して「是正要求」や「指示」を入れ込んで、介入・干渉できる仕組みをつくること、学校教育法を改悪して「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」という新たな職をつくり、上意下達で命令と強制の学校運営体制をつくることは、そうした「愛国心」を押しつけるための仕組みづくりであることが明らかになったことです。
 
 第3は、「愛国心」押しつけをはじめ、こうした命令と強制による教育に異を唱える教員を教員免許更新制というふるいにかけて、教壇から追い払うために、教員免許法を改悪しようとしていること、また、「愛国心」教育などを行わなかった場合には、「指導不適切」と行政権力が断定して、おそらくは、ほとんど「洗脳」というべきものとなると考えられる「指導改善研修」を義務付け、それでも言うことを聞かなければ免職させるしくみづくりのために、教育公務員特例法を改悪しようとしていることです。
 
 ここには、憲法9条を変えて、「アメリカと肩を並べて海外で戦争する国」づくりをねらう安倍内閣が、「戦争する国」の人づくりをねらって、教育改悪を行うとしていることが明らかに見て取れます。
 それは、自衛隊による市民の監視という、まるで戦前の憲兵政治を想起させるような、憲法違反の無法をくりひろげる国家体制づくりと一体に、教育体制そのものの変質をねらうものです。
 ここに、安倍首相のいう「戦後レジームからの脱却」の本質があります。「靖国派」が政権中枢のほとんどを占める安倍「靖国派」内閣がねらうものは、戦前、戦中の政治、社会、教育体制への危険な回帰そのものです。断じて許せないではありませんか。
しかし、この危険な本質をもつ安倍「靖国派」内閣の暴走は、この間の「宙にういた年金問題」「定率減税廃止による住民税大増税問題」「政治とカネ」をめぐる問題などとあいまって、国民からの支持を急速に失いつつあります。こんな危険で、無責任で、国民のくらしを一顧だにしない冷たい内閣にまかせておくことはできない、これが圧倒的多数の国民の声ではないでしょうか。
 
「国会運営は針の穴をとおすほどの綱渡り」 何としても教育改悪3法案を廃案に! 
 
 さて、国会会期末まで、あと10日です。参議院では教育改悪3法案をはじめ、重要法案が目白押しです。安倍内閣は、会期延長までほのめかして、これらの悪法をすべて強行しようとねらっていますが、事態はそう簡単ではありません。昨日の朝日新聞は、今後の国会運営は、針の穴をとおすほどの綱渡りをしなければならない、と書きました。まさに、現局面は、安倍政権と国民とのがっぷり四つに組んだ力相撲の最中にあります。いよいよ最終盤、渾身の力をふりしぼり、何としても教育改悪3法案を廃案に追い込もうではありませんか。 
 
最後まで国民的大宣伝をつらぬき、ビラを一枚残らず撒ききろう! 
 
 そのために、以下の行動を提起します
 第1に、本日のすべての参議院議員に対する要請行動に全力をあげるとともに、参議院議員に対し、毎日、ファックス、メール攻勢をかけましょう。とりわけ、参議院選挙での改選を控える議員にとって、国民の声ほど怖いものはありません。地元選出国会議員をはじめ、国会議員に対する働きかけを思い切って強めましょう。全教は、昨日の中央執行委員会で、国会の次の山場となる6月19日に、もう一度大規模中央行動を配置することを決定しました。全国から国会にせめのぼり、教職員、父母・国民の声と願いで国会を包囲しようではありませんか。
 
 第2に、最後の最後まで国民的大宣伝をつらぬきましょう。ビラを1枚残らずまききりましょう。ハンドマイクはすべて活用しましょう。宣伝カーは終日運行させましょう。署名を集めきりましょう。これを憲法改悪を許さぬ国民世論と固く結び、くらしの破壊をゆるさない国民世論と固く結び、力の限りすすめましょう。
 
 第3に、本日夜6時半から日比谷野外音楽堂での「安倍内閣の暴走をゆるすな」をテーマとした教育改悪3法案をはじめ、諸悪法の廃案をめざす総決起集会に、こぞって参加し、大成功させましょう。
 法案のゆくえを決するのは、世論と運動の力、これがたたかいの鉄則です。平和を願い、子どもたちのすこやかな成長を願う私たちの熱い思いを一つにたばね、全力をあげようではありませんか。
 
 以上を申し上げ、情勢報告と行動提起といたします。ともにがんばりましょう。

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