【決意表明】米浦 正 全日本教職員組合 中央執行委員長
全教の米浦です。
この間の私たちのとりくみと国会論戦をとおして、教育改悪3法案の持つ重大な問題点がいっそう鮮明になってきています。
義務教育の目標に「国を愛する態度を養う」を入れる。
幼稚園の目標に「規範意識の芽生え」を入れる。
副校長、主幹教諭、指導教諭という新たな職をつくり、学校に上意下達の管理体制を敷く。
文科大臣が定める評価指導に基づき学校評価を行う。
教員免許を更新制にし、国いいなりにならない教員は教壇から排除する。
「指導不適切」と認定した教員は免職する。
文科省と地方教育委員会との関係を「支持・命令」の関係にし、私学にも介入する。
これらのことを内容とする教育改悪3法案は、相互に影響し合って、教育の国家統制・支配をめざすものであることが、ますます明らかになってきています。
命令と強制で、国が教育委員会と学校、教員をしめつけ、いいなりにならない教員は教壇から排除してまで、子どもたちに教え込もうとしているものは一体何なのか。
この間の国会論戦で、その一端が明らかになりました。
日本青年会議所がつくった「誇り」というアニメDVDであります。過去から来た青年が高校生を靖国神社に連れて行き、「愛する自分の国を守りたい。そしてアジアの人々を白人から解放したい。日本の戦争には何時もその気持ちは根底にあった」と教えています。過去の侵略戦争を「自存自衛の正義の戦争」「アジア解放の戦争」とするもので、日本政府の公式見解とも相容れないものです。このDVDが文科省の委託事業であるかのようにして、すでに一定数の学校で観られています。
法で強制し、教え込もうとする「愛国心」なるものは、いわゆる「靖国史観」そのものであり、安倍首相のめざす「教育再生」や「美しい国」とは、戦前への回帰以外の何ものでもありません。
それはまた、4年後の憲法9条改悪のための国民投票を意識した中高生に対するとりくみでもあると言えます。
もう一つの大きな問題。改悪教育基本法でさえ、「教員については…その身分は尊重され、待遇の適正が期せられる」としているのにもかかわらず、免許更新制や「指導不適切」で、身分を不安定にされ、いつ処分されたり、クビになるかもわからない。その上、教育活動は徹底的に統制され、しめつけられる。このような教員になることを希望する学生は今後いなくなるのではないか、という危惧の声が大学や教育行政を肇教育関係者の間であがってきています。
教育改悪3法案は、何としても廃案にしなければなりません。
みなさん、安倍内閣はいま追い詰められています。
消えた年金の問題、住民税の問題、政治と金の問題、自衛隊による国民監視の問題、そして教育の問題等々、私たちの運動と急速に盛り上がってきた世論が、安倍内閣を追い詰め、窮地に立たせているのです。さらに追い詰め、すべての悪法の廃案を勝ちとろうではありませんか。
全教と全国の教職員は、みなさんとともに最後の最後までがんばり抜くことを申し上げ、私の決意表明とします。ありがとうございました。