2007年人事院勧告にもとづく給与・手当、一時金の改善の早期実施、地方公務員・独立行政法人職員など公務労働者の賃上げ実現、地方での確定闘争の前進、労働諸法制改悪法案やテロ特措法の延長など第168回臨時国会での悪法成立阻止などをかかげ、公務労組連絡会・全労連・国民春闘共闘が主催する07秋年闘争9・26第1次中央行動を実施しました。
総務省と行革推進事務局前での要求行動を皮切りにスタートした行動には約800人が参加。「秋年闘争勝利!9・26総決起集会」で秋年闘争勝利に向けた全体での意思統一を行い、国会請願デモ・国会議員要請を行いました。
今日の行動を契機に秋年闘争を急速に強めて
人事院勧告にもとづく給与・手当、一時金の改善の早期実施、地方公務員の給与改善などを求めた総務省前の要求行動であいさつした米浦正公務労組連絡会副議長(全教委員長)は、「福田内閣が誕生、発足して今臨時国会も再開となった。私たちの秋闘も強化しなければならない」と強調。福田内閣に対し、「先の参議院選挙で示された民意・国民の意思を踏まえた政治へと転換すべきだということをまず要求する」と述べました。
さらに、参議院で野党が多数という新しい状況、有利な状況を生かすためには、「私たちの運動・国民の運動の高揚が不可欠」と述べ、「全労連が提起した500万署名など、憲法改悪を許さない世論多数派づくりのために全力を尽くそう」と訴えました。
また、テロ特措法の延長の問題はじめ、労働諸法制、地方公務員法、労働基本権をはじめ公務員制度問題など、切実な課題が目白押しとなる今臨時国会についてふれ、「人事院勧告の改善部分の早期実施の要求、地方確定闘争での前進も含めた秋のたたかいを、今日を契機に急速に強めていこう」と述べました。
〝給料を削られた上に、命まで削られようとしている〟
また総務省前では、決意表明で島根県教組の舟木健治書記長が、北海道のラスパイレス指数90・6に次いで、島根の指数が92・6であることを紹介。
なぜこんなに低いのか――「カット率が6%、しかも諸手当に連動している。年間で1ヵ月分が吹き飛んでしまうただ働きをおしつけられているからだ」と県独自の給与カットについて、「県は何度も約束を破って独自カットを継続してきた」と述べ、2003年に「3%のカットを3年間行う」としていた県が、「財政状況が思わしくない」などを理由に延長につぐ延長を行い、今年の9月にはさらに4年間の6%カットの延長と、その先の5年間についても延長しようとしており、そうなれば一人当たり400万円のカットになると紹介。企業も来ないのに工業団地などをつくり、船も来ないのに港の整備をするなど、「国の言うとおりに施策を行ってきた結果、島根県に1兆円の借金が残った。その財政破綻を職員削減や給与カット、県民に負担を押しつけることで切り抜けようとしている」と県の姿勢を糾弾。
また学校現場について述べる中で、「『辞めたい』という教職員は半数を超え、休憩もとれない教職員は60%もいる。土日曜日の出勤も当たり前。慢性疲労は広がり、労働安全衛生体制は二の次、三の次。給料を削られた上に、命まで削られようとしているのが現状だ」と告発。
「公務員や教職員の給与水準を下げようとするなどとんでもない」と総務省に対して述べ、「働く者を励ますことを早急に実施して欲しい。現場の実情や現場に働くものの実態を無視して、痛みだけばら撒くようなことを絶対にやらないように」と訴えました。
〝これまでの延長線上にとどまらず大胆な構えで〟
社会文化会館で開催された「秋年闘争勝利!9・26総決起集会」では、坂内三夫全労連議長が主催者あいさつし、「今日の行動は福田新内閣が発足した翌日という、正に絶好のタイミングで展開されている。私たちのたたかいを前進させる上でこれ以上のタイミングはない」と述べ、行動を成功させる意義を強調しました。
また、参議院選挙後の新しい国会情勢から、「これまでの延長線上にとどまらず、大胆な構えで秋年闘争にとりくむ」ことが求められているとし、また、「構造改革路線の流れを変えるためにも、改憲ではなく憲法が求める政治を実現するその方向を確かなものにするために、新しい政治状況、衆参のねじれ現象という国会の力関係を最大限に活用し、あらゆる政治勢力、国民団体と共同を追求し、大胆な要求政策闘争に打って出るべきだ」と述べました。
「これまでは『改悪させない』『抗議する』といった守勢のたたかいであったが、新しい国会情勢では改正案が成立可能な情勢にある」と述べ、「労働契約法制、労働基準法改悪についても我々の要求が実現可能な状況にある。またテロ特措法、年金保険料の流用禁止法案、障害者自立支援法見直し、災害被災者生活再建支援法でも、要求実現求める攻勢的なたたかいを、新しい政治状況と国民世論の変化に確信を持ってとりくもう」と呼びかけました。
〝たたかいさえすれば大きな実りの秋を手にできる〟
情勢報告で公務労組連絡会の黒田事務局長は、発足した福田新内閣について、「国民が求めてきたのは、首相の交代ではない。参議院選挙で示されたのは、国民犠牲の構造改革を続けてきた自公政権からの転換に他ならない」と述べ、「速やかな衆議院の解散と総選挙によって国民の真を問うことを強く求める」と強調しました。
また、秋年闘争をめぐる公務・民間の労働者に共通する運動課題として以下の3点を指摘。
①賃金をめぐって
8月に示された最低賃金の目安額は時給1000円以上という要求には程遠かったものの最高で19円というこれまでにない改善を勝ち取ることができた。地方では、目安額を上回る地域差異賃を実現している。人事院勧告は、不十分ではあるが8年ぶりの俸給表改善、9年ぶりの年収ベースでの改善となった。官民共同のたたかいが大幅賃上げに向けた新たな流れをつくりだしている。
しかし、人事院勧告については、8月10日に給与関係閣僚会議が開かれただけで、1ヵ月以上も棚上げにされている。使用者責任を果たさない政府に対し、断固抗議する。また、政令市で出始めている人事委員会勧告の中にはマイナス勧告がある。都道府県に波及する恐れがあり、予断を許さない。引き続くたたかいの強化がもとめられている。
公務の非常勤(=「官製ワーキング・プア」)の賃金改善で職場からワーキング・プアをなくすたたかいは民間公務に共通する課題となっている。こうしたことから、07春闘から夏季闘争と続いたたたかいを秋年闘争に発展させていく。
具体的には、最低賃金改正法を早期に成立させること、福田内閣に対して、人事院勧告の早期の実施を迫ること、地方でのマイナス勧告や自治体による賃金カットを許さないたたかいが重要になっている。
②働くルール確立をめぐって
労働法制改悪法案も継続審議となっており、今臨時国会でのたたかいを強化する。同時に、労働基本権回復のとりくみも重要段階を迎えている。労働基本権のあり方を議論してきた政府の専門調査会は10月19日にも最終結論を出すとしており、労働基本権をめぐる情勢がいよいよ重要局面を迎えている。全労連は、労働基本権回復など公務労働者の働くルール確立と公務・公共サービス拡充を求める100万人署名を秋からスターとさせる。公務員の権利は住民本意の行財政や教育を勝ち取る権利でもある。100万署名で国民的な世論構築をはかっていく。
③憲法改悪を許さず平和を守るたたかいについて
テロ特措法延長や、アメリカ政策に加担するいかなる新法も許さずたたかい抜くことを呼びかける。改憲勢力が憲法9条改悪により、自衛隊の海外派兵をねらっていることからも、テロ特措法延長反対のたたかいは、憲法改悪反対の運動にも直結する。全労連の憲法改悪反対500万署名に全力をつくす。
――など黒田事務局長は3点について述べ、最後に「国民が格差と貧困を生み出した構造改革に明確に『NO!』の審判を下し、それによってつくりだされた参議院での野党多数の状況が、悪政を転換できる政治的条件をつくりだしている。問題は多いが、たたかいさえすれば大きな実りの秋を手にする条件がある。このことを確信にして大きな一歩を踏み出そう」と呼びかけました。
この集会には、連帯あいさつとして労働法制中央連絡会の伍日本婦人団体連合会副会長が、国会情勢報告には日本共産党の吉井英勝衆議院議員が駆けつけました。集会後、参加者は社会文化会館を後に赤坂周辺を巡り、国会へ請願デモを行い、街行く人に秋年闘争をアピール。国会議員要請では、「労働法制の抜本改正で、ワーキング・プア、差別的処遇、不安定雇用、長時間労働問題の解消を求める要請」を行いました。