『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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「なくせ貧困!2・13総行動」全国から参加の6000人が省庁など包囲

 「なくせ貧困!」を合い言葉に2月13日、中央省庁の立ち並ぶ東京・霞ヶ関、永田町で「なくせ貧困!2・13総行動」が開催され、約6000人が全国から参加しました。
 この行動は、08年度予算が国会で審議されている時に、大企業「一人勝ち」の社会でなく、みんなが幸せになる社会を求めて全労連・春闘共闘などに結集する労働組合、民主団体が共闘して実施したものです。

なくせ貧困のたたかいに総結集を 全労連議長が呼びかけ 

 12時から日比谷野外音楽堂で開催された決起集会で主催者あいさつした坂内三夫全労連議長は、「国民の要求が政治を動かしているという新しい状況が生まれだしている」とし、被災者生活再建支援法の改正、薬害C型肝炎の問題では全員一律の救済法の成立、33年ぶりの最賃法の改正、後期高齢者医療制度について野党共同の廃止法案が提出される見通しでいることなどをあげ、「政治の流れは着実に変わっている」と強調しました。
 一方で、「労働者の賃金は9年連続で下がり続け、生活保護に満たない年収200万円以下の労働者は1023万人にものぼっており、日雇い派遣、偽装請負、雇い止めなど、労働者がぼろきれのように使い捨てられる事態がすすんでいる」と指摘。また、「農民の1時間当たりの労賃は256円にしかならず、中小企業や自営業がバタバタとつぶれ、自殺者が後を絶たない状況にある」と告発しました。さらに、全国各地で学校や郵便局、農協、保育所、病院がなくなっている現状についても指摘し、「全国各地で格差と貧困が広がっている」と強調しました。
 そうした現状を踏まえ、「社会の中で一番困っている労働者や国民によりそって、この人たちに光をあてる運動、すべての国民に憲法25条にもとづく健康で文化的な最低の限度の生活を保障をする貧困撲滅の国民運動が求められている」と述べ、「労働組合、業者団体、農民団体、青年・女性団体、医療や高齢者団体などすべての団体が総結集しよう。そうすれば大きな国民世論をつくることもできる。次の総選挙で本格的な政治革新にもつながる。今日の総行動を出発点に貧困撲滅のたたかいに総結集し、安心して働き、くらせる社会めざしてともにがんばろう」と呼びかけました。

 
国民の声がとおる政治に向け 労働者が先頭に立とう
 
 決起集会の後、国民本位の行財政を求めて総務省、財務省、農林水産省、厚生労働省の各省庁前で要求行動を実施しました。
 
 総務省前要求行動には、「官製ワーキングプアをなくせ」「公務・公共サービス拡充」などを要求し、公務各単産と全労連臨時・パート労組連絡会の仲間が参加しました。
 冒頭あいさつに立った大黒作治公務労組連絡会議長は、「国民生活は困難に直面している。消費不況に陥らないためにも官民が協力して、非正規労働者の均等待遇、正規雇用拡大を実現し、同時に国民生活を守る公務・公共サービスの拡充と労働基本権回復のたたかいを強めよう」と訴えるとともに、「九条の会が7000を越えた。憲法を守るたたかいを職場からすすめよう」と呼びかけました。
 
 財務省前では、要求行動開始にあたってのあいさつで公務労組連絡会の黒田健司事務局長が、通常国会の最大の焦点である道路特定財源にかかわる暫定税率の延長に反対するたたかいについて述べ、「政府与党の見直し案は、ガソリン税などの暫定税率を来年度から10年間延長し、総額約60兆円を高速道路の建設につぎ込むことになっている」と指摘したうえで、「一体誰のための道路整備なのか。国際競争力の確保などと言うが、財界の要望に全面的に応えたものであり、それに湯水のように私たちの税金を使うのが自公政権だ」と厳しく批判。「無駄使いを直ちに止め、危険な通学路の道幅を広げたり、防災・防雪対策など生活道路の整備など国民生活に密着した支出こそ、最優先に行うべきだ」と強調。「地方格差をなくし、国民のいのちとくらしを守るために、暫定税率の延長に反対して国民的なたたかいを盛り上げていこう」と訴えました。
 また、福田首相自らが「構造改革」路線を堅持していることにふれ、政府予算案は「国民犠牲の『構造改革』をさらに拡大する内容となっている。社会保障予算の2200億円もの削減など、連続する社会保障制度の改悪は、医療難民、介護難民を各地で生んでいる。予算削減は断じて認められない」と力を込め、公務・公共サービスにかかわっては、「『官から民』を合い言葉にし、公共サービスが儲けの対象にされ、公務員の総人件費が削られている。独立行政法人の整理・合理化計画では、101の法人を81に減らすとされている」ことを紹介し、「公務・公共サービスの拡充に向けて、国民世論を広げていくことが重要になっている。公務・公共サービス拡充署名の100万筆達成に全力をあげよう」と呼びかけました。
 さらに黒田事務局長は、財界の要望に応えて庶民増税を着々と準備する自公政治を国民の世論と運動で包囲し、悪政をストップさせるためにも、「与党を解散総選挙で衆議院でも少数に追い込む。政治の民主的転換で国民の声がとおる政治を実現させるたたかいの先頭に労働者が立とう」と述べるとともに、「08春闘勝利に向け奮闘しよう」と呼びかけました。

 
教育から貧困と格差をなくす 全力で奮闘する決意表明
 
 また財務省前での行動の決意表明で中村尚史全教中央執行委員は冒頭、「自公政権がすすめる『構造改革』による貧困と格差が拡大する中、経済的格差が教育格差を拡大し、教育格差がさらに経済的格差を拡大するという、悪魔のサイクルともいうべき事態が進行している」と指摘。「05年度の調査で小中学生の8人に1人、大阪や東京では4人に一人が就学援助を受けている。東京の足立区や板橋区では40%を超え、学校によっては7、8割の子どもが就学援助を受けている実態があることが文科省調査であきらかとなっている。また、公立高校の授業料減免者も急増している」と実態について述べ、さらにそうした実態をより深刻にしているのが、「『三位一体の改革』の名による地方切り捨ての政策だ」と指摘。給食費や修学旅行代、授業料が払えず、修学旅行にいけない小中学生、中退せざるを得ない高校生も現れていることなどを告発しました。
 また、教職員の長時間過密労働も精神疾患をはじめ病気休職者が急増するなど深刻な実態になっていること、教職員定数増が求められていること、超過勤務を解消するためには17万人の定数増が必要であることを訴えました。
 そうした中、文部科学省も「子どもと向き合う時間の確保」のためとして定数増を求めたのに対し、財務省が定数増要求は「悪のり」だと切り捨てたことを告発しました。
さらに、定数増に1兆円、就学援助金に134億円、私公合わせて高校・大学の授業料無償のためには約3兆3000億円、30人学級のために必要な財源は8000億円、合計5兆2000億円あればこれらすべてが実現可能であり、6兆円近い道路特定財源の一部を使うだけでもこれらのことが実現すると訴えました。
 最後に、「引き続き、広範な父母・国民と手を携え、お金の心配なく学べる社会、人間らしく働くことのできる社会を実現するために全力で奮闘する」と決意を述べました。
 
 各省庁前での行動を終えた参加者は、続いて「なくせ貧困!国民要求実現銀座パレード」を行い、街行く人々に08年国民春闘勝利をアピール、その後、大企業の社会的責任を追及する日本経団連包囲行動を行いました。

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