『クレスコ』

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クレスコ

〈2025年1月号 12月20日発行〉

【特集】障害のある人のいのちと尊厳―優勢思想をのりこえる

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暴挙!政府、平成25年度末までの公務員賃金1割削減を提案  全教は「絶対認められない」と教職員の署名を積み上げ交渉



 政府は、5月13日、全教も同席した国公労連に対する交渉において、国家公務員賃金を引き下げるという重大な提案をおこないました。交渉には、宮垣国公労連中央執行委員長をはじめ国公労連三役と北村佳久全教中央執行委員長、蟹澤昭三全教書記次長、野村幸裕自治労連中央委執行委員長が参加しました。





 席上、片山善博総務大臣は、昨年の人事院勧告の取り扱い閣議決定以後の経過を踏まえ、政府として、方針がまとまった、厳しい財政事情にあるなか、それに加えて東日本大震災が発生し、その対処を考えれば歳出削減は不可欠である、としました。具体的には、平成25年度末(26年3月)まで、俸給とボーナスの1割カットを基本として引き下げすることを提案し、「みなさんには大きな痛みをともなう措置である。震災対応をふくめ、日夜、公務に精励していただいているなか、大変、心苦しく思うが、ご理解いただき、ご協力をよろしくお願いしたい。」としました。

 宮垣国公労連中央執行委員長は、「提案の内容は、公務労働者の労働条件の切り下げであり、かねてから主張してきたように重大な問題を持っており、認めがたいもの」としたうえで、「震災復興の財源確保の一環としての削減に言及されたが、復興財源は公務員賃金の一部カットなどとは桁違いのものであり、それに見合った財源議論が必要だ。特に、東日本大震災では、国・地方の公務労働者が被災者の救援、被災地の復旧などの活動に全力であたってきた。われわれは、『全体の奉仕者』としての使命にもとづいて、公務労働者の専門性も発揮しながら、被災地の復興に全力をあげる決意だ。それが公務労働者としての貢献のあり方であり、賃下げで貢献せよという考え方にはくみしない」ことをあらためて表明しました。

 さらに、総務大臣としての考え方が示されるべき点として、
① 政権公約である公務員総人件費2割削減の方針は、もともと道理のないものであり、抜本的に見直すべきである。この間、民主党のマニフェストがことごとく破綻するもとで、なぜ公務員総人件費削減にしがみつくのか。
  震災を通して、公務・公共サービスの重要性があらためて明らかとなった。その点では、震災を教訓にしつつ、「小さな政府」などとして公務・公共サービスを切り捨ててきた「構造改革」の見直しは急務であり、何よりもまず公務員総人件費削減の方針の撤回を求める。
② 公務員の賃下げの影響力について、どのような考えを持っているのか。雇用情勢の悪化や国内消費の伸び悩みで景気の回復が遅れていることに加え、震災によって日本経済の落ち込みが懸念される。個人消費の拡大は政府として取り組むべき課題であり、労働者の賃上げが求められている。
  公務員の賃下げは民間労働者の賃金にも影響し、賃下げによる消費の冷え込みが避けられず、景気回復をめざす流れにも逆行する。さらには、地方自治体の交付金にも連動する部分があり、自治体財政にも影響がおよぶこととなる。
  公務員の賃金を下げるならば、広範囲におよぶ否定的な影響もふまえた検討が必要だ。大臣としてその認識があるのか。
③ 給与引き下げを「きわめて異例の措置」と言うが、労働基本権制約のもとでは人事院勧告にもとづかない労働条件の切り下げは、明確に憲法に違反することとなる。憲法を踏み破る措置を、「異例の措置」などとして検討すること自体が不当だ。

  片山大臣は、昨年の臨時国会の答弁で、条例で地方公務員の賃金をカットした経験をのべている。それに準じて国でも賃金カットが可能という考えなのか。可能だと言うのならば、納得ができる合理的な説明を求める、という3点を追及しました。
 つづけて、野村幸裕自治労連中央執行委員長が、震災復興を含めて大企業の利益分配を政治が実施することの重要性、特に、復興財源として内部留保の活用と年金基金の活用などを求めました。

 北村佳久全教中央執行委員長は、「大臣の提案で検討経過はわかったが、削減理由はまったく理解できない」としたうえで、全国の教職員から結集された4万5892筆の賃下げ反対署名を示しつつ、「国の賃下げが地方への圧力にならなかった例が今まであるのか。署名に込められた教職員の思いを重く受け止めてほしい。提案は到底納得できるものではない」と、述べたうえで、①民主党のマニフェストにあるように、国家公務員の人件費は「無駄遣い」なのか、②復興財源を一つの理由にしながら、第2次補正予算の財源議論がはじまる前に、なぜ賃下げだけ決めようとするのか、③「組合の理解を求めて」話し合うというなら、ゴールをあらかじめ決めて何回かの交渉をするというようなことであってはならない、と大臣の考えを質しました。

 その上で、全国の教職員が恒常的な長時間過密労働の中、病気休職や精神疾患が増えているという深刻な状況にあっても、被災地の復旧活動を積極的にすすめていることを紹介し、「(復旧活動には)私も参加した。(そうした教職員の奮闘を考えれば)賃下げは絶対に認められない。」と満身の怒りを示し、大臣に迫りました。

 片山大臣は、「本当に異例のことで心苦しい。今日は厳しいご意見をいただいた。重く受け止めたい。」としながらも、公務員総人件費2割削減のマニフェストは選挙をとおしてのもので、できるだけ実現すべき、(賃下げによる)消費の冷え込みは否定できないが、復興に伴う公的支出が全体として増え、景気を上向きにする要素になりうる、(人勧無視は)憲法違反との論点については、強いて言えば財政事情がきびしく平時ではなく、だから異例の措置だ、と強弁しました。

 しかし、地方公務員との兼ね合いでは、提示が国家公務員についてのものと明確にしたうえで、「(政府として)地方公務員の賃金決定への権限はない。昨年から人勧の閣議決定の通知文書も(私が)変えた。あくまで国公の問題として論じている。今回も地方自治体に人件費の削減を求めることは一切考えていない。人件費は『無駄遣い』ではない。ただ、その水準をどうするかということだ。今後の交渉ではできる限り理解と協力を得たい。そのために今日もこういう場を持ったという姿勢だ。」と述べ、今後も交渉に臨むことを明らかにしました。

 宮垣国公労連中央執行委員長は、最後に、「問題意識を述べ、見解も求めたが、納得できる回答は何ら示されなかったと考える。引き続き、納得のできる合理的な考え方を示すよう求める。」とし、「労働組合との合意をめざすというのならば、今後、使用者責任にもとづいて労働組合との誠意ある交渉・協議を求める。今日は、その入口に過ぎず、具体的な内容が示された段階で必要な意見ものべたい。労使間の合意をめざす努力もなされないままで、道理のない賃金引き下げの強行は断じて認めない。」ことをあらためて表明して交渉を終えました。

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