『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

  • 全教共済
オピニオン

原告の勝利声明 都教委は私に対する横暴で理不尽な権力の乱用を謝罪し、直ちに名誉の回復を

                                    2010年2月24日
                                   原告・金崎 満
1、2月23日、最高裁判所は「上告を受理しない」との決定を行い、本日私の元に送達されました。これにより私への「懲戒処分及び分限処分を取り消す」と判断した東京高裁判決が確定しました。このような勝利をみなさんに報告出来ることを大変嬉しく思います。
 これも裁判勝利のためにさまざまにご支援をいただいた多くの方々のおかげであると、心より感謝申し上げます。
 東京都が申し立てた上告を最高裁が受理しなかったのは、東京都教育委員会の異常な学校介入や裁量権の濫用など、横暴な教育行政をきびしく断罪した当然の判断です。

2、高裁判決は、最大の争点であった情緒障害児の学級編制問題について、私の主張を全面的に受け入れ、懲戒処分については、「社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を濫用して発せられた違法なものであり…」と都教委の主張を退けました。そして分限処分については、「一部根拠のない事実を前提とし、考慮すべきでない事項を考慮し、裁量権の行使を誤った結果発せられた違法な処分である」と認め、都教委の杜撰な処分をきびしく断罪しました。
 高裁判決は、「そもそも情緒障害児学級は、情緒障害を持つ生徒のうち、問題行動や集団不適応が顕著で現行の学級編制や教育課程では教育的な対応が十分にできない生徒を対象とするものである」とし、現行の制度が不十分であるために、様々な創意工夫しながら実践をすすめてきた七生養護学校の教職員の努力を認めたものでした。子どもの発達保障を願う学校の創意・工夫や教職員の努力を評価したという点で、きわめてすぐれた判決でした。
 
3、そもそも私への処分は、七生養護学校における性教育への攻撃を発端としたものでした。
 しかし「校長から教諭への降任、停職一ヶ月」という異例で厳しい処分の理由に「不適切な性教育」という文言はありませんでした。きわめて短時間での処分の発令(2003年9月11日)、翌月にはあの悪名高い「国旗・国歌の実施に関する10・23通達」が出されるなど、私への処分はきわめて政治的で異例な処分であったのです。
 つまり都教委の施策をくまなく周知徹底させるために、私はその見せしめとして処分され、最大限「活用」されたのです。私への処分は当初から不当だったのです。
 
4、私の裁判は、都教委の露骨な教育介入や不当な学校支配などの教育行政を告発するとともに、教育における教職員の自主性・自立性を取り戻し、教育に自由と民主主義を確立していくたたかいでもありました。現在の学校現場での深刻な事態を打開し、これからの教育のあり方を問うきわめて重要なたたかいでした。
 それだけに最高裁の上告不受理決定は、都教委の異常な教育行政に決定的な打撃を与えるとともに、日々呻吟している学校現場へ大きな励ましを与えるものと確信しています。
 私は、子どもたちのために本来の教育や学校を取り戻し、教育に自由と民主主義を確立していく上で、最高裁が示した判断の意義はきわめて大きいものがあると考えます。
 東京都は、「上告不受理」を謙虚に受け止め、直ちに確定判決に従うとともに、これまでの権力的な教育行政を改めるよう強く要求します。そして 都教委は私に対する横暴で理不尽な権力の乱用を謝罪し、直ちに名誉の回復措置を行うよう強く求めます。
 

原告の勝訴確定

金崎満先生(元七生養護学校長)への不当処分取り消しを求める裁判
最高裁「上告審として受理しない」を決定

2010年2月24日

 
 2月23日、最高裁判所第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は、都教委の上告に対して、裁判官全員一致の意見で「1 本件上告審を受理しない 2 申立費用は申立人の負担とする」と決定しました。このことによって、東京高裁の勝利判決(2009年4月9日)が確定しました。
 これまで、この裁判を支援してくださったみなさんに心から感謝申し上げます。
この事件は、2003年7月2日の土屋(民主党)都議の都議会での七生養護学校の「こころとからだの学習(性教育)」への攻撃に端を発しています。都教委は、性教育だけではなく学級編制や学校運営等にも問題があったとして、ろう学校を除く全ての障害児学校を調査し、わずか2ヶ月後の9月11日に大量の処分を強行しました。その中でも、七生養護学校の金崎元校長には停職1ヶ月と教諭への降任という重い処分を下しました。処分は、性教育については一言も触れず、「学級編制における虚偽申請」「超過勤務の不正な調整」「都教委の通達に違反した研修承認」を理由にしたものでした。
 東京高裁判決は、「本件懲戒処分は重きに失し、社会通念上著しく妥当性を欠いて裁量権を濫用して発せられた違法なものであり、本件分限処分は、一部根拠のない事実を前提にし、考慮すべきではない事項を考慮して処分事由の有無を判断したもので、重きに失し、裁量権の行使を誤った結果発せられた違法なものである」と判示し、都教委の控訴を棄却し、「処分を取り消す」とした東京地裁判決を支持しました。
 金崎裁判の勝利の確定は、都教委の乱暴な教育行政を断罪するものです。
 私たちは、都教委がこのことについて真摯に反省し、金崎元校長に謝罪するとともに、名誉の回復措置をただちに行うことを求めるものです。そして、都教委のこれまでの強権的な教育行政をあらためさせ、学校に自由と民主主義を確立し、ゆたかな障害児教育の実現のために全力をあげていくものです。
 
 
石原都政・都教委の教育破壊を告発する!
 「金崎満先生(元都立七生養護学校長)への不当処分撤回を求める裁判」弁護団
 「金崎満先生(元都立七生養護学校長)への不当処分撤回を求める裁判」支援の会
           連絡先 東京都千代田区二番町12-1全国教育文化会館4階
              東京都障害児学校教職員組合 (3230)1565

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